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「な、何言ってるの」
「だって、狙いが遺産なら態々私を狙わなくても良いじゃない」
「ひ…一人ずつ潰そうと思ってたのよ」
そっぽを向くビアンカ。四肢はブチャラティのジッパーによって切断されている為逃げられない。
「…本当に？」
首を傾げるレティにビアンカは苛立ち、ついに苛立ちを通り越してーー笑い始めた。ソプラノのような良く通る声が、品の無い笑いを響かせる。
「…一つ間違いがあるわ。私はあなた達を殺したかったんじゃない。"あなた"を殺したかったの」
「私？」
「ええ。私…ふふ、可愛らしいバンビーナが大好きなの。とくに、そんな子達が浮かべる恐怖に歪んだあの顔！あれを初めて見た時、身体中を電撃が走ったの！ああ、なんてーーなんて、気持ちが良いの、と！」
頬を紅潮させ、吐息が荒くなる。切断された腕や脚さえも興奮の余りに動き出してしまいそうな勢いで、ビアンカは己の異常な嗜好を吐露する。
「いつもはね、可愛い子がいたら声を掛けて眠らせてしまうのだけれど…あなたギャングだからそういうのにも強かったのね！ベネ！大好きよそういう子！」
「…それはどーも」
「今日会場で見た時、直感が言ったの！私の人生で一番最高に素敵な顔をしてくれるのは、あなただって！現に、とっっても良かったわ！！ああーーもう一度見たいわあ、あなたのあの表情…」
とろんとした恋する乙女のような顔をしたビアンカにこの場の誰もが吐き気を感じーーその沈黙を破ったのはレティの冷たい声だった。
「ブチャラティ、"これ"の口にジッパー付けてもらっていい？黙らせてからの方が処理しやすいから」
「あーーああ…」
ジッパーを付けられたビアンカは、尚も熱烈な視線をレティに送っていたので目隠しもすることにした。
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作者名：茜 | 作成日時：2019年4月28日 19時
