その文豪達、ヤ ン デ レ につき。【短編】

檻　＊森鴎外 ページ6

檻を用意しよう



聡明な君が気付か無いような広い檻を




枷を用意しよう




自由な君が好きなよう行動している錯覚にすら陥る長い枷を





首輪を嵌めよう






君を欲しがる男達が手を出せないように。





「森？どうした？｣



エリスちゃんと遊びながら彼女が首を傾げる
私は笑いながら何でもないよと言った

彼女はそれを聞くと興味がなさそうに視線をエリスちゃんにもどす




笑う度に揺れる濡れたような黒髪



慈愛に満ちた色を放つ夜を下ろしたような瞳



健康的な肌にほっそりとした身体



彼女を構成する全てが美しく、そしてはかない
だからこそ





檻を用意しよう
(君が逃げないように)

聡明な君が気づくことすらできない広い檻を


枷を用意しよう
(いつでもこの手の中に引き戻せるように)

自由な君が自由だと錯覚してしまいそうなほど長い枷を


首輪を用意しよう
(コレは私の物だ)

君に吸い寄せられる哀れな男共に見せつけるための首輪を



そう、彼女は私の物だ
誰にだってあげはしない
それこそエリスちゃんにだってね。

クツリと笑う私をA君はまたもや、不思議そうにみていた。

自傷　＊芥川龍之介　グロ有→←二重愛　＊谷崎兄弟　

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