陸。 ページ7
きっかけは、ふとした疑問からだった。
『ねぇ。綾里と櫂って、柱を引退したんだよね?どうして?』
だって二人と稽古をしていると、とてもじゃないけど怪我人だとは思えない。
それでも鬼殺隊を引退しているのだから、きっと何かしら事情があるのだろう。
「そういえば言ってなかったね。私、目が見えないんだ」
「俺は両足が義足だ」
『え、嘘!?大怪我なのに、あんなに強いの!?』
綾里は、攻撃を避けるのがとても上手い。どんなに速く攻撃しても、すぐにかわされてしまう。
目が見えない状況であれだけ素早く避けるなんて、人間離れした技だ。
櫂だってすごい。
あそこまで力強い踏み込みは、義足でできるものなのだろうか。足を失くしてあの実力とは、恐ろしい。
「私はね、鼻がいいの。簡単な感情くらいなら匂いで分かるし、攻撃の匂いには敏感になってるから」
匂いで感情を嗅ぎ取る?
そんな話、初めて聞いた。
「俺は綾里のような特異体質ではないが、とにかく鍛錬を積んだんだ。Aだってこのまま努力し続ければ、手や足が失くなっても強くいられるぞ」
『二人とも、本当に凄い人たちなんだね……』
綾里は本物の姉のように優しくて、櫂はぶっきらぼうながらも思いやりに溢れている。
二人のことは家族のように思っているけど、こんなに凄い人たちに対して家族だなんて、おこがましいかもしれない。
「いや、実力的にはAも相当だからな」
「私たち、そこらの一般隊士よりは強いと思うの。それでもAは、私たちといい勝負するじゃない?Aなら、間違いなく最終選別には突破できると思うよ」
『……あのね、今のうちに聞いておきたい。鬼殺隊に入った後、鬼を滅亡させるにはどうしたらいいの?』
二人は顔を見合わせ、頷いた後に話し始めた。
鬼の始祖はまだ生きている。名前は、鬼舞辻無惨という。
鬼舞辻直属の配下を十二鬼月といい、上弦の壱が最も強く、下弦の陸が最も弱い。
上弦の強さは異次元で、ここ百年以上上弦を討伐していないそうだ。当然、鬼舞辻はそれより強い。
「Aは、鬼舞辻を倒したいの?」
『そいつが全ての元凶なんだよね。……もちろん、殺したい。地獄に送ってやりたい』
「そうか……。でも、柱でも誰一人遭遇したことがないんだぞ。とにかく自分の身を最優先に考えろ。選別でもだぞ。分かったな」
「絶対に死なないでね。待ってるから」
『分かった。必ず、突破するよ』
そしてそれから、五月ほどの歳月が経った。
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わらび餅 - あおいさん» 本当に何回も、ありがとうございます!すっごく嬉しいです! (2020年3月6日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 題名、変わりましたね!とっても素敵です....!続きがめっちゃ気になります。次の更新も楽しみに待ってます! いつもの長文野郎より。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 4eed4f74a9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 萌葱なごみさん» えええ……マジですか!?全然出てこないんですけど、もしかしてスマホのスペックが低いんしょうか……。何か他の読み方は知りませんか? (2020年3月1日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - しまと打って探せば出てきます! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - 嶼ですよ! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月9日 20時