伍。 ページ6
「夜桜、彼らが君の育手になる、花村と霧原だ!歳も近いし、良くしてもらうといい!」
『え……』
「あれ、A。杏寿郎の言ってた子って、Aだったんだね」
「お前……。いきなり稽古やめるとか言っておきながら、図々しい奴だな」
杏寿郎さんに紹介してもらった育手は、綾里と櫂だった。
まさかもう一度教わることになろうとは、夢にも思っていなかった。驚きなんていう次元の話ではない。
「……ん?三人は知り合いだったのか!それなら、殊更都合がいいな!」
『うん、そうだけど。……二人とも、家の中は見たの?』
「見たよ。――A、大変だったね。助けてあげられなくてごめんね」
「日輪刀を持たせておけばよかった。すまない、俺たちの責任だ」
『ううん。二人のせいじゃないよ。悪いのは鬼なんだから』
やっぱり気付かれていたか。
家の中は、血で充満していた。
庭にお墓は造ったけれど、血の匂いや色は落とせなかったのだ。
「今日から夜桜は二人と暮らすんだ!最終選別は六月後!必ず強くなって、生き残るんだぞ!」
『うん。杏寿郎さんも気を付けてね』
忙がしいだろうに、わざわざ山まで見送りに来てくれた。本当に本当にありがたい。
「さてと。それじゃあ、始めよっか」
「ビシバシ鍛えるから覚悟しろよ」
時間が増えた分、二人との稽古は厳しいものだった。
まずは、山の周りを五十周走ることから始まる。それが終わったら、素振りを三千回。その後は櫂に受け身を教わり、最後は二人との実践訓練だ。
綾里に教わった、全集中・花の呼吸。これを使って二人からの攻撃を避け、最終的にはどちらかに一撃入れるまでは終わらない。
『……はああああ、きっつ……』
「もう腕が鈍ってる。こんな程度でへばってるようじゃ、鬼を倒すなんてできないからね?」
「オイ、速さが落ちてるぞ!もっと速く剣を振れ!」
二人の指導はかなり厳しく、過酷だ。
『頑張れ、頑張れ私!』
初めはなんとか自分を奮い立たせて稽古に臨んでいたが、一月も経つと段々慣れてきた。
「……A、すごいね。ここ一月で実力が桁違いに上がってる」
「そうだな。最近は、俺たちともいい勝負になってきてる」
二人はめちゃくちゃ強かった。
後々知ったけれど、綾里は元“花柱”、櫂は元“霧柱”だったらしい。
そんな凄い人たちに稽古を付けてもらっているのだから、私ももっと頑張らないといけない。
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わらび餅 - あおいさん» 本当に何回も、ありがとうございます!すっごく嬉しいです! (2020年3月6日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 題名、変わりましたね!とっても素敵です....!続きがめっちゃ気になります。次の更新も楽しみに待ってます! いつもの長文野郎より。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 4eed4f74a9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 萌葱なごみさん» えええ……マジですか!?全然出てこないんですけど、もしかしてスマホのスペックが低いんしょうか……。何か他の読み方は知りませんか? (2020年3月1日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - しまと打って探せば出てきます! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - 嶼ですよ! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月9日 20時