参拾。 ページ31
【無一郎Side】
四人がけの席に通され、Aは甘露寺さんの隣に座った。僕はせめてもと思い、Aの目の前を確保する。
二人は仲良く話している。蚊帳の外状態だ。
大変ですね、という感じで隣を見ると、伊黒さんも似たような顔で返してきた。
「A、美味しかったのってどれ?」
『あ、オムレツライスっていう料理なんだけど……。あのね、トマト味のご飯に卵が乗ってるの。ふわふわしてて甘くて、すごく美味しいんだよ』
説明している時の顔が、既に幸せそうだった。そこまでなのか。
「じゃあそれにする」
『うん!』
……あー、可愛すぎる。Aの笑顔で世界を救えると思うんだけど、それって僕だけかな。
「Aちゃんはどれにするの?」
『うーん……。蜜璃ちゃん、他に何かお薦めってある?』
「あるわよ!なぽりたんっていうんだけどね、舌にわああって甘さがきた後に、ぐぃいいーんって口全体が楽しくなるの!もう、すごいお薦め!」
『そうなんだ。じゃあ、それにするね』
甘露寺さんの説明が酷い。
それにしても、二人とも近すぎない?僕だってそんなに近づいたことないのに。
「時透」
「何ですか」
「……大変だな」
伊黒さんは、笑顔で話す二人を見ながら言った。会話に夢中で、僕たちが話していることなんて気付いてもいない。
「そうですね。……Aは前より笑うようになったけど、まだ硬いので。ああして笑ってくれてる分にはいいんですけど、少し悔しいというか」
「分かるぞ。甘露寺の笑顔は非常に愛らしいんだが、それを向ける相手が俺じゃないことが気に食わん。……器が小さいが」
「いや、わかります」
あまりに共感できる考えだったので、思わずたくさん喋ってしまった。
Aに笑ってほしいけど、他の人には見せたくない。明らかに矛盾している。
現にAはめちゃくちゃモテる。きっと気付いてないと思うけど、煉獄さんと不死川さんはAのことが好きだ。
七人いる男の柱のうち三人。鬼殺隊一と見て間違いないだろう。一般隊士に告白されているのも、幾度となく目撃している。
『無一郎くん、さっきはありがとう。でももし切腹したら、私もちゃんと切るからね』
「駄目。Aを必要としてる人は沢山いるんだよ」
『そんなこと言ったら、私には無一郎くんが必要なんだよ。無一郎くんを必要としてる人だってここにいるんだから。それに、私のほうが弱いし』
「そういう問題じゃないよ」
全然分かってない。
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わらび餅 - あおいさん» 本当に何回も、ありがとうございます!すっごく嬉しいです! (2020年3月6日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 題名、変わりましたね!とっても素敵です....!続きがめっちゃ気になります。次の更新も楽しみに待ってます! いつもの長文野郎より。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 4eed4f74a9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 萌葱なごみさん» えええ……マジですか!?全然出てこないんですけど、もしかしてスマホのスペックが低いんしょうか……。何か他の読み方は知りませんか? (2020年3月1日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - しまと打って探せば出てきます! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - 嶼ですよ! (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月9日 20時