参。 ページ4
お母さんは鬼に喉元を裂かれ、苦しむ間もなく息絶えた。
幸大はそれにうろたえ、泣き叫び、お母さんの元に走って行った。
鬼はその瞬間を見逃さず、幸大の溝に大きな風穴を開けた。
『お母、さん。憲一。幸大……』
幸せが壊れるのは一瞬だ。つい先程まで、皆は生きていたのに。笑い合っていたのに。
姿は見える。それでも、三人はもうどこにも生きていない。体はあれども、これはただの死体だ。
『……もう、無理だよ』
三人を失った後の世界で生きていたって、何になる？大切な人なんていない。身寄りもない。一人で静かに、その日その日を生きていくだけ。
そんな苦しい生活を送るのなら、今ここで死んだ方がよっぽどいい。
「――すまないな、遅れてしまった！」
『……！？』
瞬きをする程の短い間に、突如としてその人は現れた。
赤と黄が入り混じった髪色の、大きな背中。
その人の振った刀は鬼の頸を飛ばし、鬼は少しずつ崩れ始めた。
「間に合わなかったか……。だが、君だけでも助かってよかった！怪我はないか？」
『あの……あなたは？』
「俺は鬼殺隊の、煉獄杏寿郎という者だ！」
鬼殺隊。
私が入る予定の組織だ。
『杏寿郎さん。私は、夜桜A。鬼殺隊に入りたいから、あなたについて行かせて』
「……む。鬼狩りは楽な道ではないぞ！特に君のような女性隊士は、ほとんどの者が志半ばで亡くなっている！」
『剣術はある程度身に付いてると思う。足りない分は今からでも鍛えて、必ず死なないようにする。だから、私を弟子にしてください。……お願い、します』
私が生き残った理由。
それはきっと、一匹でも多くの鬼を狩るためだ。救えたはずの命を、帰らぬものにしてしまった。
杏寿郎さんが助けに来てくれなければ、間違いなく私は死んでいただろう。
今ここで死んだと思えば、命なんて惜しくない。死ぬ気でやれば大抵のことはできる。
「だが……。……まぁ、いいだろう！ついて来い、夜桜！」
『ありがとう、杏寿郎さん』
綾里と櫂は、今夜もいつも通り家に来るだろう。二人に置き手紙を残していくのを忘れずに、私は家を出た。
二人ならきっと、理解してくれるだろう。
杏寿郎さんはとても強い。さっきの一撃を見れば分かる。
このまま二人の元で教わるよりも、杏寿郎さんに稽古を付けてもらった方が強くなれる。
罪悪感が全くないと言えば嘘になるけれど、私は少しでも多く、鬼を殺さないといけないから。
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わらび餅 - あおいさん» 本当に何回も、ありがとうございます！すっごく嬉しいです！ (2020年3月6日 20時) (
レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
あおい - 題名、変わりましたね！とっても素敵です....！続きがめっちゃ気になります。次の更新も楽しみに待ってます！ いつもの長文野郎より。 (2020年3月5日 21時) (レス) id: 4eed4f74a9 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅 - 萌葱なごみさん» えええ……マジですか！？全然出てこないんですけど、もしかしてスマホのスペックが低いんしょうか……。何か他の読み方は知りませんか？ (2020年3月1日 20時) (レス) id: eec3d5a46f (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - しまと打って探せば出てきます！ (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
萌葱なごみ - 嶼ですよ！ (2020年3月1日 18時) (レス) id: be00a3fd43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：karin | 作成日時：2020年2月9日 20時
