人魚姫

人魚姫１０　横尾さんサイド ページ12

「また、やっちゃった…」横
またやってしまった
また、迷惑をかけてしまった
しかも、大勢の人に
そしてきっと…太輔にも…
「……穴があったら入りたいな…」横
本当にそんな気分
どうしよ…
『♪〜♪〜』
「ん？」横
歌？
どこからだ？
「……行ってみるか」横
タッ…
―岩場―
「…」横
どこだココ？
初めて来たな…
それに…いつもの所じゃない…
『♪〜♪』
また聞こえた！
近い！！
タッ
「ハァッ…ハァッ…ハァ…」横
いた！
「あっ…あのっ！」横
『…？』
クル…
「！！」横
……って、太輔！？
あっ、違う…似てるだけか…
でも…どうしてこんなところに？
『君は誰？』
「おっ…俺は…
　渉…横尾渉です」横
でも…ホントにキレイ…
太輔にソックリで…こんなにキレイだったら…
モテるんだろうなぁ…
『俺は○○
　よろしくね、渉』
「…え？」横
『…どうかした？』
「ごめんなさい、もう一回名前聞いてもいいですか？」横
聞こえなかった…
こんなに近くにいるのに…
『いいけど…
　俺の名前は、○○だよ？○○！
　……聞こえないの？』
「あ…うん…ごめん…」横
名前の部分だけ聞こえない…
名前を聞いちゃいけないのか…？
『そっか…
　じゃあ…たぁって呼んでよ！』たぁ
「た…たぁ？」横
『そう！
　それ、俺のあだ名だから！
　名前はダメだけど、あだ名なら大丈夫でしょ！』たぁ
たぁって…太輔も呼ばれてなかったっけ…？
ホントに似てるんだな…この人…
『あのね、渉
　俺さ…人を探してるんだ…』たぁ
「人…？」横
人を探してるって…
嫌な予感しかしない…
『そう、もしかしたら…人じゃないのかもしれないのだけど…
　この前…俺…海で溺れたんだよ
　そのときに、助けてくれた人を探してる…
　でも、どこを探しても見つからなくて…』たぁ
「…」横
やっぱり…汗
ここは…人魚姫の話の中なのか…
『なぁ、渉
　君は知らない？
　俺を助けてくれた人を…』たぁ
「知らないかって言われても…
　手がかりがないと…」横
『手がかり？手がかりは…』たぁ
スゥッ
『♪〜♪〜』たぁ
「…！！」横
綺麗な歌声…！！
さっき歌ってたのは、たぁだったのか！！
『この歌なんだけど…
　何か知らない？』たぁ
「ごめん…
　何も知らない…」横
『……そういえば、渉
　君、ボロボロじゃないか！
　何かあったの？』たぁ
「いや…別に…何も？」横
『そっか…じゃあ、来て！！』たぁ
「えっ！？どこに！？」横
『いいから！早く！』たぁ
グイッ
タッ
「わっ！！ちょっ！！」横

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