The form of kindness 5【M】 ページ5
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「あ、そうだ!俺さぁ〜、こっち、戻ってくるんだよ」
「え!!?」
「両親離婚して、父親のばーちゃんちで暮らすの。今日もそれ関係で行ってくる」
「そっか…」
「ってことなんで、また宜しくね」
隣に座る宮田くんの横顔は笑っていた。
いつも以上に、まるで楽しい話でもしているかのように。
相変わらず穏やかに優しく、ただ少しだけ、淋しそうだった。
「宮田くん…、アレ、見てみて?」
「え?」
「あの夕雲…、宮田くんみたい」
茜色に染まったその雲は、なんて事はない、ただの大きな雲。
「え?」なんて、窓の外に視線をおよがせる宮田くん。
きっと、宮田くんには見えてない。
絵本にはさみ続けた
綺麗な綺麗なしおりに描かれていたのは
ずっと、こんな景色だったんだよ
「宮田くんの、優しい気持ちみたいなカタチ」
もう二度と会えないと思ってた。
もう二度と、めくれないと思ってたの。
「……ありがとう」
宮田くんが、ひとり言のようにつぶやく。
「ずっと、…………好きだったの」
私が、ひとり言のようにつぶやく。
「……気分は?悪くない?」
やっぱりひとり言みたいにゆっくりと問いながら、宮田くんが、私の手をぎゅっと握りしめた。
その瞬間、世界が、色づいた。
「俺もずっと、こうしたかったんだ」
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「あっ、パパママ見てみてー!あの木、お化けみたいだねー!!!」
「本当だね」
「あっ、あっちも見て!!!アレはキャンディ」
「甘い物好きなお化けなのかな?」
「ううん、あれはね、魔法のキャンディ!なめるとみーんな笑っちゃうの。でね、頭が割れてお月さまが出てくるの!でね、そのお月さまが本当は王子さまでー…」
娘の話す突拍子も無いストーリーに、思わず俊くんと目を合わせて笑ってしまう。
優しさで色づいた世界。
これからもずっと、この人の隣で生きていきたい。
【end】
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Bride diary【Y】Episode1→←The form of kindness 4【M】
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作者名:ななは | 作成日時:2018年11月12日 19時