Bride diary【Y】Episode3 ページ12
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「これ、一緒だったから」
横尾さんがスーツの内ポケットから取り出したのは、まだビニル包装されたままのボールペン。
ペンの頭には白い器が付いていて、大盛りつゆだくを感じさせる牛丼が盛られている。
そしてさらに、小さなロウソクが三本刺さっていた。
あっ!!!!
電話機の脇に置いていた、同じ状態のボールペンをすかさず差し出した。
お揃いのボールペンで繋がった空間。
「ふふっ、駅前の牛丼屋さんですよね?お誕生日だともらえるって書いてあったんですぐに免許証出しました」
「はい、僕も免許証を出しました」
「まさかお誕生日が一緒だったなんてびっくりです。今日で二十五になります」
「あぁ、それも一緒だ。僕も今日で二十五になります」
「本当ですか!?すごい!歳も同じなんて!じゃあ横尾さんと私は、同じ日の空気を吸って産まれてきたんですね」
こんな偶然があるんだ…
もしかして昨日の夜、
横尾さんを思い出したのはこのせいだったり?
もしや運命共同体?
調子に乗った私が、「星座や血液型も同じだったりして」と興奮気味に問いかければ、「誕生日が一緒なら星座も一緒ですよ」って、可笑しそうに横尾さんは笑った。
そして、次に見せた横尾さんの真剣な眼差しは、とても大切なことを私に気づかせてくれた。
今、目の前に立つこの人のことを、私はずっと、好きだったんだ。
私、横尾さんのこと好きだったんだ。
「あの…、佐藤さん」
「は、はい……、」
" 良かったら今夜、一緒にお祝いしませんか? "
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「また寝てるんですか?」
実家へと車を走らせる横尾くんが、からかうように言った。
「ふふっ。申し訳ございません、横尾さま」
よしっ!
気を改めてもう一回ご挨拶文を書き出そう!
カバンから手帳を取り出す。
「おまっ、まだ使ってんの、そのボールペン」
「いいじゃーん。私たちが今こうしてるのも、これのおかげでしょ?」
ウエディングケーキは牛丼にしようという私のナイスな提案は秒で却下されたけど、変わらない橙色のあたたかさは、大盛りつゆだくくらいの幸せをきっと私にもたらしてくれる。
【Episode3 end】
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作者名:ななは | 作成日時:2018年11月12日 19時