sleet 2 【Y】 ページ2
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面倒くさいの極み。
なんか……、気持ち悪くなってきたし……
「……俺さ、屋形舟、降りるとこまで迎えに行ったんだけど」
帯、ちょっとキツ過ぎたかな?、なんて、そんなことを考えていると、ほんの少し勢力を失ったように渉が話し始めた。
「え!?仕事は?お店定休日じゃないよね?」
「今日は休み」
「そっか…、ごめん、渉いたの気づかなかったよ」
本当に、気づかなかった。
「なんでこんな時間なわけ?」
「遥と会うの久々だったからもーちょい喋ろってなって…、ちょっと寄って」
そっか
だから機嫌悪かったわけね
そんなことで怒るなんてちょっと意外だけど
わざわざ迎えに行って会えなかったら
私もイラッとしちゃうかもしれない
あとひと押し!
あとひと押し下手に出れば
きっと渉の機嫌も治るはず!!!
「せっかく来てくれたのに、渉、ごめんね?」
「で、飲んだんだ?」
その切り返しに、冷たい何かが一滴、浸透する。
「……………もぉいーよ」
「よくねーよ」
「謝ってるのにいつまでもいつまでも」
「はっ?」
「だってそーじゃん。最近何が気に入らないの?謝ってるのは渉に対してだよ!そのくらい分かんない?」
「俺に対して謝ってんの?」
「そーだよ!!私なんか間違ってる!?」
渉の顔色がさらに変わった。
あーもー
面倒くさっ
お風呂に直行し浴衣を脱ぎ捨てた。
ガンッッッッ!!!!!
何かが壁に当たる衝撃音。
そんな攻撃、幼稚園から一緒の私は
全く怖くないんですぅー
シャワーを浴びてからも頑なに無視を決め込む。
こんなとき倉庫兼自宅があれば、即効帰宅してるのに。
ドライヤーを手にする私に向かって、渉はワザとじゃなければ出せないであろう音量の舌打ちを思いっきり響かせ、乱暴にドアを開けると部屋を出て行った。
くちびるギュッと嚙みしめる。
涙は流さない。
頭皮に温風を受けながら、淡々と思う。
もしもこれで私たちが壊れたら
迷うものなんてない……
もしかしたら
このまま別れた方が
渉にとってはいいのかもしれない
ドライヤーのスイッチを切ると、部屋から音が消えた。
私の世界からも、音が消えた。
ベッドに横になり、ゆっくり瞼を閉じる。
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作者名:ななは | 作成日時:2018年7月28日 1時