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「3番の人、出発してー!」
学級委員の呼び掛けにより、私と涼は一緒に肝試しをスタートした。
周りは真っ暗で懐中電灯を照らさないと全然見えないぐらいだった。
「全然怖くないね」
「え、あ、そ、そうだね」
真顔になりながら辺りを懐中電灯で照らす涼に頷きながら言う。
本当は怖いんだけどね……
ガサガサッと音が鳴って、びっくりして涼に飛び付く。
「ご、ごめん」
私は慌てて涼から離れようとすると、手をギュッと力強く握られた。
「本当は怖がりの癖に……」
「なっ……!」
「肝試し怖いんでしょ?だから早く進も?」
「う、うん……!」
涼に手を握られながら私は歩いていく。
「あ、あれだよね?」
涼から聞かれて、指を差している方を向くと、いつの間にか目的地に着いていた。
「あ、うん。確か札を持っていくんだよね。もう取ったから戻ろう?」
「うん」
私は札を手に持って集合場所へ戻る。
「Aってホラゲーしてるから肝試しとか平気かと思った」
「それ、男子とか文実にも言われた……」
私が苦笑いしながら言うと、涼はクスッと笑いながら『ごめんごめん』と謝った。
「涼ありがとね」
「ん?」
「私がその怖がりなのわかって、わざわざ手を繋いでくれてありがと…」
私は恥ずかしそうに笑いながら言うと、涼は何も言わずに黙る。
私は不安になって彼の顔を見る。すると、少し顔を赤らめていた。
涼は私が見ていたことを気づいていないっぽい。だから、私はわざと気づかないフリをした。
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作者名:咲乃ほしは | 作成日時:2019年10月21日 21時