十七話 ページ17
彩side
翔吾「……何と言うか、さ」
夕食を食べていたら、ふと結城がそんな風に言った
翔吾「俺らってさ、その、所謂」
彩「犬猿の仲?」
翔吾「そうそう。
お互い悪口言って、意見も違って、今のところ相性最悪じゃんか」
そう結城が当たり前のように言って、私は心にチクッとした痛みが広がった
…?なんだろう?
心の中で自問自答しようとしたら、それを遮るように結城が言った
翔吾「なのに立花はさ。
犬猿の仲の俺に、形としてお礼とかしてくれたじゃん。
何と言うか………これ、犬猿の仲か?」
彩「犬猿の仲よ」
翔吾「うわ即答…」
苦笑いしながら言う結城を気にしないで、私は答えた
彩「私達は犬猿の仲。
相性は悪いし、お互いの悪口はポンポン浮かぶし、いい所を見つけようとはしない…
でも、少なくとも私は、テンプレな犬猿の仲ではないと思ってる
私は今日、あんたに助けられて嬉しかったし、安心したわ
だから、まあ…
昨日よりは、嫌いじゃない」
………
はっず!!!!!!
うわっ、うわぁーーー!!!恥ずかしいっ!!!
なんでこんな痛いセリフ言っちゃったの私はーーー!!!!
無理!!!今結城じゃなくても人の顔見れない!!!
そう心の中で錯乱していたら、結城が静かな声でこう言った
翔吾「…何か、俺もかも」
彩「えっ?」
翔吾「俺もさ。お前のことは嫌いだけど…
めっちゃ嫌いってほど、嫌いじゃないな」
彩「……うれしくねー」
翔吾「俺も今言っててこれのどこに喜ぶ要素があるんだろうとひしひしと思った」
彩「…でもまぁ、夕食ぐらいならいつでも作りに来てあげなくもないけど。
今日助けてくれなかったら、私の社会的人生終わってたかもだしね」
そう私が言うと、結城は目を輝かせて
翔吾「マジで!?やったぁぁぁぁ!!!」
と叫んだ
……あ、あれ?これマジで?
私ちょっと社交辞令のようなものだったんだけど…
…まぁ、でも
翔吾「うわー俺めっちゃ幸せじゃん。
ありがとな!立花!」
この笑顔に免じて、許してやるか
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未麗 - びっくりするくらい面白いです! (2022年3月13日 21時) (レス) id: 662d0a9b46 (このIDを非表示/違反報告)
春 - この作品大好きです。更新頑張ってください! (2021年10月24日 17時) (レス) @page21 id: 1a52a06ab6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - この作品好きなので更新待ってます! (2020年5月9日 21時) (レス) id: 62402bd543 (このIDを非表示/違反報告)
世羅 - 少し彩の性格と口の悪さが・・・だけど新鮮で面白いです (2020年4月5日 21時) (レス) id: 635a6689c3 (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん - とっても、おもしろいですね!もう更新しないのですか?悲しいです。。。私は、更新待ってます!頑張ってくださいね! (2019年11月22日 19時) (レス) id: 65a8024b6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:私の番です | 作成日時:2019年9月28日 16時