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今目の前で講義をしているのは白石先生で、私たちフェロー4人はその講義に参加しているのだけれども。
「多数傷病発生時は医療指揮官の判断にしたがって組織的に治療に当たることが重要よ。医療指揮者は現場にいる医者、看護師、パラメディックの数、いわゆるマンパワーね。それに医療資材、近隣病院の受け入れ可能な負傷者数を確認して_」
横に座っていた灰谷先生がパッと手を挙げた。
「すみません。パラメディックとマンパワーのあと、もう一度お願いします!」
「質疑応答は後ほど行います」
「…すみません」
呆れた顔をする白石先生。一方落ち込む灰谷先生。
「相変わらずズレてんな。力入れるとこそこじゃねえだろ」
直ぐに名取先生が灰谷先生へとつっかかったが、白石先生はこちらを見たまま。
「スマホ出してる人はしまってくださいね」
白石先生は続けてそのまま名取先生を指摘した。
「すみません、録音してました。まあ、だいたいネットに書いてあることと一緒だし、もうやめますね」
「あのねぇ」
何かを言おうとした白石先生だったが、それはガシャンっという音にかきけされた。
「...すみません...」
そういうのはいつの間にかいなくなっていた横峯先生。彼女は壊れた部品を片手に慌てていた。まったく、これじゃうちの救命の恥だろ、なんていうかくいう私も真面目に講義を聞いているかと言われれば首をかしげる。
流石に携帯を触ることもないし、席を立ち上がることもないけど、貰った資料を先読みして話は大して聞いてない。
なんでも今日は色々とこの院内は忙しい。
うちのシニアたちは、小学生相手になんかやってるみたいだし、脳外ではトロント大と中継ライブデモンストレーションを行なっているんだろか。私はそちらの方を見に行きたかったなぁ、なんて思いながらも我らがリーダーの白石先生の講義を聴いていた。
__「アラート・レッド、アラート・レッド」
館内に響き渡るホットラインの音に私は読んでいた資料から顔を上げた。
_「成田空港消防司令室よりドクターヘリ要請です。スカイベトナム531便が乱気流に飲み込まれ、機内で負傷者が多数発生。成田空港へ引き返し、現在着陸体勢に入っています」
私はPHSを胸ポケへと入れる、他3人ももうこの場所にいるつもりは無いらしい。それと同時に教室の後ろの扉が開き、橘先生が入ってきた。
「白石、行ってこい」
「わかりました、出動します」
白石先生の後ろをつくように、私たちは教室を後にした。
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めい - 楽しく読ませていただいています!ありがとうございます。 (7月20日 7時) (レス) @page10 id: da775a55a6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮麗子(プロフ) - 初コメ失礼します。続きが気になります・・・!更新大変だとは思いますが、待ってます。 (2021年7月17日 9時) (レス) id: 3300853b00 (このIDを非表示/違反報告)
Flower(プロフ) - 続きが気になります!大変だと思いますが、更新楽しみにしてます!! (2020年3月26日 22時) (レス) id: cd08cf8264 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 続きが気になります 更新しないんですか?これからも頑張ってください (2019年10月2日 22時) (レス) id: b2ca3dc2e9 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月21日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mono | 作成日時:2018年10月20日 17時