139 ページ2
「30代男性、自宅階段から転落、血圧70、心拍120、意識レベルE1V1M3です!!」
相変わらず救命は忙しい。次々に患者が運ばれてくる。
「CTオーダーしときます」
そういって携帯をひらりとさせた名取は相変わらず。私は患者の衣類を全て切り取ると、エコーを受け取り滑らせる。
「開腹します。こっちの出血止まり次第CT室に向かいます」
直ぐにメスを受け取り腹部を開く。そこから溢れ出るように出てきた血液、私は躊躇わずに一気に手を入れる。繊細な作業。信じるのは自分の手のひらと指先と、この目だ。
「はい、お疲れさん」
「ありがとうございます」
「戻って来て早々患者取られるとはなぁ〜!!」
緋山先生と藤川先生から缶コーヒーを受け取りながら、私はなぜか二人に挟まれた。
「ところでさ」
「はい?」
「藍沢とはどうなったわけ??」
わたしはその言葉に首をかしげる。
「赤本が戻って来てからずーっとバタバタだったじゃない。アイツも今向こうに行ってるし?」
「いや、特に何も」
「え?付き合ってるであってる?」
「一応?」
あれから話合いの場は設けて、お付き合いすることにはなった。今彼はトロントの方に下見へと行っているし、一ヶ月もせずに彼は旅立ってしまう。
まあそれを踏まえて、超遠距離ではあるがお付き合いをすることになった。
まぁその後どうにかなるならどうにかなるだろう、っていう私達の考えは多分相当ネジが外れている。それが私達らしさだと思うんだけど。
「遠距離かぁ〜、大変だぞ〜」
なんて茶化してくる藤川先生は、挙式をどうするかとかなんだとかが最近の悩みみたいだし、緋山先生も彼氏さんとなんだか大変そうだし、私はあえて口を挟まないでおくけど。
「だって時差あるだろ??それに会うなんてどれくらいの頻度で会えることやら」
「まあ普通に考えたら年1であえたらいい方でしょ」
なんて勝手に話が出て進んでる。
わたしは受け取った缶コーヒーを飲みほすとそれを藤川先生に握らす。
「ICU行って来ますね」
「おい!これごみ!」
「私も仕事だしよ〜」
緋山先生も呑んでいた缶コーヒーを渡すとデスクに座った。padと書類を手に持ち医局を後にした。
1034人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めい - 楽しく読ませていただいています!ありがとうございます。 (7月20日 7時) (レス) @page10 id: da775a55a6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻宮麗子(プロフ) - 初コメ失礼します。続きが気になります・・・!更新大変だとは思いますが、待ってます。 (2021年7月17日 9時) (レス) id: 3300853b00 (このIDを非表示/違反報告)
Flower(プロフ) - 続きが気になります!大変だと思いますが、更新楽しみにしてます!! (2020年3月26日 22時) (レス) id: cd08cf8264 (このIDを非表示/違反報告)
真衣(プロフ) - 続きが気になります 更新しないんですか?これからも頑張ってください (2019年10月2日 22時) (レス) id: b2ca3dc2e9 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月21日 2時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mono | 作成日時:2018年10月20日 17時