12 ページ12
ブルーシートの上に腰を下ろした時、自分の腕から血が流れていることに気がついた。さっき二人を庇った時にできた怪我だろうか、そういえば背中も痛む事にも気が付き顔を歪めた。
『綾人、雫、どこか痛いところとかない?』
私はカバンの中から救急セットを入れている小さなポーチを取り出した。職業柄か小さな子供と一緒に外へ出る際はこうして簡単なものではあるが持ち運ぶことは多い。腕の血を拭き取り、ガーゼタイプの絆創膏を貼って周りを見渡した。
「...Aちゃん」
二人に怪我がないことを確認していると、綾人が私の名前を呼んだ。私は雫の呼吸音を注意深く聴きながら「なあに?」と聞き返した。
「...雫は、僕が見てるから」
何を言おうとしているかは直ぐにわかったが、私は本当にそれでいいのだろうかと頭を悩ました。まだ幼い子供達だ、それに下の子は喘息持ちで目を離すのは危険。それでも、と綾人は強い目で私を見つめていた。
『...ここのボタン押したら、私にかかるから』
「わかってるよ、僕もう六歳だし!」
腰へと腕を当てて「早く行ってきてよ」という綾人に私は溜息を付いてから頷いた。綾人には見守り携帯を手渡し、いつでも私に連絡できるようにしておく。雫の容体がおかしくなれば直ぐに連絡するように、と念を押して。
『流石お兄ちゃんだ、任せたよ』
ポンと二人の頭を撫でると私は荷物を綾人に任して立ち上がった。そのまま救急車の方へと走り寄り「翔北救命センターの赤本と言います、ドクターバック余ってますか」と隊員へと話しかければ、丁度一つ余っていたらしくそれを受け取ると私はソレを背負い走って現場まで向かう。
山車の近くまで戻ると、やはり道端に倒れている人が何人かいた。私は一番近くにいた男性へと近寄り、直ぐに声をかける。
『聞こえますか〜?』
トントンと肩を叩きながら手を握るが反応はイマイチ、苦しそうに呼吸をしており胸がやけに上下に動いている。触診をしようと腕を捲り、患者の服を持ち上げると胸元が青く変色しており打撲が骨折か、そう思いながらそこへと手を伸ばせばやけに固く感じた。
『...気胸?』
私はドクターバックから聴診器を取り出し、胸へと当てて慎重に動かす。軽い外傷性気胸だろう、この程度なら私もどうにかできそうだ、と聴診器を外した。
1548人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
笹原美桜(プロフ) - ネボーンじゃなくてREBOAじゃないですか?ドラマ沿いだと (2021年9月15日 22時) (レス) id: 9ad5622aaa (このIDを非表示/違反報告)
ゆの(プロフ) - こんにちは、いつも楽しく読まさていただいています。誤字を発見したので、ご報告です。支持→指示だと思います。ご確認ください。 (2018年7月30日 7時) (レス) id: 4d27a7bcab (このIDを非表示/違反報告)
Ray(プロフ) - あおいろさん» 分かりました (2017年8月20日 15時) (レス) id: 3f08d45607 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - チナキンさん» ありがとうございます!!「」の前に名前を入れればいいのですが、入れていないのでものですみません。説明文で分かりやすいようにかけるようもっと頑張っていきたいと思います! (2017年8月20日 15時) (レス) id: 5cec4d6e77 (このIDを非表示/違反報告)
あおいろ(プロフ) - Rayさん» コメントありがとうございます。残念ながらただいま忙しい状況で、新しい小説を書く事は難しいと思われます。ですが、男主で案もいいと思いますのでかける環境になれば検討して行こうと思います。申し訳ございません。 (2017年8月20日 15時) (レス) id: 5cec4d6e77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mono | 作成日時:2017年7月27日 0時