分 ページ4
貴方side
ついに味覚もなくなった
筋肉は衰え、臓器もさらに衰弱する
立つことは出来ないし、ずっと横になっている生活
それでもゾムさんは毎日来た
「今日も来たで、…今日少し辛そうやな。大丈夫か？」
『ぉぉ…ぁぃぁ…』
「水とってくるな、喉乾いたんやろ？」
ほらやっぱり…ゾムさんは私の言いたいことが全て分かるみたいなんだ
『ぁぃ…ぉ…』
「そんなお礼なんてええねんで？Aさんと一緒に居るだけで幸せやからな！」
きっとそこで笑ってるんだろうな…
笑顔が…見たいよ
「なぁ、久しぶりに聞いてもええか？僕と付き合ってくれへんか？僕は少しだけだってええからAさんと一緒に充実した生活をしたいねん
目が見えなくたって、声が出なくたって…それでも僕はひとりの女性として好きなんや」
そう言って私の手を取った
ここまでしてくれて…断る意味なんてなかった
『ぁ…ぃ…！』
私も好きです。そう伝えたつもりだ
伝わった…かな…？
突然、私のベットの上、私の上に乗って抱きしめてくる
あぁなんて暖かい
「ほんまか…？ありがとうな…！好きや…何ヶ月も粘ってよかった…！｣
頬を擦り寄られ、完全にホールドされた
冷たい何かが頬に当たった
彼の涙だろうか…？
私だってできることならば彼の背中に腕を回したかった。でもそれは不可能だ
腕の筋肉はもう持ち上げられるほど残っていなかった
かろうじて顔の筋肉はまだ動く
表情を作ることが出来る
だから笑顔を作った
心配させないように
ガラッとドアが開き、ドサッと何かの落ちる音
「ゾムお前…！何Aちゃんのこと襲っとんねん！！」
あ、鬱さんだ
「ちゃうんや大先生！ただ抱きしめてるだけやねん！Aが可愛くて仕方なかっただけなんや！」
Aって言われた…ぎゅっとさらに強く抱きしめられる
すると足音が聞こえる
すぐ近くで鬱さんの声
「Aちゃん嫌がってんのとちゃうか？とりあえず離れ」
「嫌や、離れへん。Aも嫌がってへんから。」
これの繰り返しだったが、鬱さんが先に折れた
程々にせぇよと行って帰っていった
なんて私は幸せなんだろう
私は十分幸せよ。死んでしまったとしても後悔は残らないくらいに
……
…？
本当に？
わたしがしんだら…ぞむさんは…？
わたしがしんだあと、わたしはまたひとりになるの？
たまらなくこわくなった…
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ぱなん(プロフ) - 感動して涙が止まりませんでした。素敵な作品でした！ (2022年12月28日 1時) (
レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなん(プロフ) - 作品を読ませていただきました。感動して本当に涙が止まりませんでした。ほんとに大好きな作品です！こんな素敵な作品を作ってくださってありがとうございました！ (2022年12月28日 1時) (レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くいな | 作成日時：2020年2月15日 15時
