十 ページ3
貴方side
自分までつられて赤くなる
し、仕方ないよね…？
初恋だって気付いてすぐその人にキスされたんだもの…
「突然ごめんな…？昨日知り合った男にこんなことされて気持ち悪いやんな…でも聞いてくれへんか？
僕は大先生が入院したばかりの頃、Aさんがずっと窓の外をみて何か考えてるんやろな思うとったんやけど、それがめっちゃ儚くて…好きやった
気持ち悪いって思われるかもしれへんけど、この2ヶ月くらいは大先生のお見舞いっちゅうよりもAさんに会いたくて来てたんや」
私がベットに座っているから、しゃがんで目の高さを合わせて話してくれる
「僕が…Aさんの事を好きって言うたら迷惑か…？」
少し悲しげな笑いをしている
私のことを…すき…？
『…ぅ…ぅぅ…』
ううん、と自分では言ってるつもり。
ただ首を振る
好きって言われたからか、嬉しくて…嬉しくて…涙が出てきてしまう
「良かった…僕嫌われたかと思うて…ほら、こうやってがっついちゃうやん？
…で、返事教えてくれへん？」
声色が少し変わった
かなり真剣な声になった
私…は…
"私も…好きです。でも私はこの先短い命です。
ゾムさんに好きと言って貰えただけで十分幸せですから…その先の関係は望めません"
この病さえなければ…私はすぐさま彼の手を取っただろう
それほど私の病は私の足枷になっている
最近は目が見えなくなっている
それなのに健康な彼と付き合おうだなんて…
烏滸がましいと言えばいいのだろうか
「先が短いからこそ…やろ？そういう返事返されちゃったら…
僕は君を完全におとすまで来るからな。こんな悪い狼に見つかったんが最後やで」
クイッと顎をあげられてしっかりと目を見られる
さっきとは違う目。ぎらぎらしてて…そのまま魅入ってしまいそうになった
結局その日は夜までいて、次の日もまた次の日も朝から晩までいた
たまに鬱さんも来たんだけどね、ゾムさんが帰らせちゃう
そして約1ヶ月が経つ頃には私は目が見えなくなっていた
いつもは真っ暗な世界だけど、ゾムさんが来るだけで一筋の光が見えた
筆談はできない。ただ口から母音が漏れるだけ
でも…何故かゾムさんには全て伝わっていた
なんで…分かるんだろう
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ぱなん(プロフ) - 感動して涙が止まりませんでした。素敵な作品でした！ (2022年12月28日 1時) (
レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなん(プロフ) - 作品を読ませていただきました。感動して本当に涙が止まりませんでした。ほんとに大好きな作品です！こんな素敵な作品を作ってくださってありがとうございました！ (2022年12月28日 1時) (レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くいな | 作成日時：2020年2月15日 15時
