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貴方side
鬱さんは退院して、この部屋で1人過ごす夜になった。
そして迎えた朝。
良薬口に苦しとは言うけれどこれは…
悪薬口に苦しである
この薬が確実に私の身体を生かしているのなら飲むんだけどあまり実感わかないなぁ…
味のしない食事
苦味しかない薬
今日食べるのやめちゃおっかな…薬も捨てちゃお
がらがらっとドアが開く
「遊びに来たで！お、食事中やったか」
そうです、でも食べなくていいかな…そう伝えると
「だめやだめや。ちゃんと食べなあかん。ほら、薬も一緒に食べれば大丈夫やろ？」
こっちに来て完全食をスプーンにとり、薬をそこに入れて私の口元に運ぶ
『…ぁ…ぃゃ…』
母音とや行しか話せない。しかも掠れて
「なんや、声出るんやないか」
ニカッとギザギザした歯を見せて笑う
あぁぁ…すごく距離近いし…カッコイイな…
その表情も…好きかも…
ドキッとしてしまう
少しだけ口を開けるとそこにスプーンをいれて食べさせてくれた
味のしない食事のはずが、少しだけ美味しく感じた
「おん。それでええ。ほら、もう一口食べぇや」
大人しく口を開いて食べる
また一口食べるとええ子やなと言って頭を撫でてくれる
なんでこの人は…こんなことを私に出来るんだろうか
不思議な人だな…
「おぉ！全部食べれたやんか。もう少し貰ってこよか？」
いや…これ以上は要りません…
横に首を振る
「そうか？ならええんやけど…」
すると頭を撫でていた手がするりと私の頬にまで降りる
ど…どうしたんでしょう
目をしっかりと合わせられる
綺麗な瞳の中に自分が映っているのがなんか…ちょっと…
不思議な感覚がする
もう片方の手で私の目を隠される
「…ごめんな」
何に対しての謝罪なのだろうか
『…ぅ…ぁぅ…？』
ゾムさん…？と尋ねたつもりだった
やはり声は出ない
ちゅっと口になにか暖かくて柔らかいものが当たる
え…なになに？
多分ゾムさんの前髪かな？が私の額辺りにあたる
ってことは…えぇ！？！？
ま…マウストゥーマウス…？
口が離れ、隠されていた視界が戻る
そこには顔を真っ赤に染め上げたゾムさんがいた
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ぱなん(プロフ) - 感動して涙が止まりませんでした。素敵な作品でした！ (2022年12月28日 1時) (
レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
ぱなん(プロフ) - 作品を読ませていただきました。感動して本当に涙が止まりませんでした。ほんとに大好きな作品です！こんな素敵な作品を作ってくださってありがとうございました！ (2022年12月28日 1時) (レス) id: 86d4459a23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くいな | 作成日時：2020年2月15日 15時
