やさぐれの主役は我々だ！wrwrd (shp) (ページ16)

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我々だ16 ページ16

私はゆっくりと口を開けて言葉を発した

「別に、そんな大した理由では無いです。

ただ、幼い頃の私にとってはすごくトラウマで、嫌な思い出でした。

その時受けた傷が癒えないまま私は成長してしまいました」

ゾムさんは何も言わずじっと私を見つめた

「小学生の頃です。その日は私の誕生日で、人生でいちばん楽しい日でした。

その日私は、父さんと母さんから初めてゲームをプレゼントしてもらいました」

今でも覚えている。2人が、私の喜ぶ顔につられて一緒に笑っていたあの顔

もらったゲームを大事にギュッと抱きしめて布団の中で一緒に寝たあの日

忘れるわけがない

「私は嬉しくて、学校から帰ってくるとすぐに、そのゲームをずっとプレイしていました。最初は、今よりもすっっごく下手で」

敵を倒すのにどれだけかかったか

父さんの方が敵を倒すのが上手かった
母さんの方が操作方法をすぐに理解していた

だから私も上手くなろうと思った

ただ、純粋に

実際とても成長した

父さんよりも敵を倒すのが上手くなり
母さんよりも操作方法を理解し、それ以上のものを身につけた

仲間と協力することを知った

楽しかった

誰かと協力してお互いを褒め称えることがすごく心地が良かった

「そのままの感情だけ知っていればよかったんです」

そうだ、深夜にやるからそうなるんだ

私は知らなかった。

夜遅くになればなるほど性格の悪いプレイヤーが続出するということを

そのゲームだけだったのかもしれないけれど、あの頃の私にとっては大事件だったのだ

「人数は私含め5人、敵はとても強いモンスターでした」

あのモンスターはレアな物資を狩りとることができるからどうしても倒したかった

多分その場にいた全員同じ考えだっただろう

けれど、物事はそう簡単に行かないのが人生ってもんなのだ