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「柊和…おい柊和って！」
「ん？なに、ざわ呼んだ？？」
ずっと呼びかけてたのにも関わらず、なに？どうした？みたいな顔で振り向いた彼。
わざとなんかやなくて、たぶんこれが、こいつの、素、なんやろな。
悪気がないのはわかってるんやけど、
けど、
「呼んだ？やないわ。
柊和、これどこに向かってるんや。」
明らかに人気のない、街の中心から離れた方に足を進める柊和。
「どこって、俺の友達に会いにやけど。」
さっき言うたやろ？って。
「いや、確かに聞いた。友だちに紹介したいって。
俺も、承諾した。
でも、こんな、街から、離れた所なんて。…。」
「え、なんて？」
「あぁ！、もう、！だから！、
柊和が向かってる先って、あの遊廓くらいしかないやん！！」
「…ゆうかく…？
あぁ、そやな。他にはないもない。それが？」
「…はぁぁあ！？」
大声を出した俺をいつも通り男前なキリッとした目元で見た柊和。
「ちょっと、ざわ！まあ、落ち着けって」
「落ち着けもなにも、どういうこと！？友だちが遊廓におるって、ほんまにそれ友だちなんか！？」
「…え…それ、ほんまに言うてる？」
柊和の声のトーンが変わった気がして、もう１度彼の顔を見ると、すっかり眉が落ちて、
悲しんでる？
「いや、ちゃうねん。
ごめん…
柊和なんも言ってくれへんから、ほんまなんかな？って。」
「…あいつは、小さい頃に家族から離されて、ここにやってきて、もちろんこっちに友だちもそんなにおらへん。
やから、俺が行くだけで喜んでくれて。ざわも仲良くしたって？」
「そうやったんや…１人でやっていってるって、強い人、なんやな。」
「強い？その逆、あいつはめっちゃ弱いっていうか…今にも俺の前から消えていなくなりそうなんや、Aは…」
え、ちょっと待って…
今確かに、A、って言ったよな…？
てっきり男やと思ってた俺は、拍子抜けする。
そして、それと同時に
「A」
そう言った柊和の顔がめちゃくちゃ真剣で、彼にとって大事な人なんやなってわかって。
「ごめん、俺が悪かった。」
言いたい事はあったけど、それしか言えへんかった。
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作者名：ゆう
| 作成日時：2017年9月6日 19時
