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「ついたわ」
その場所は、かなり古ぼけた場所でした。壁紙は色が抜け、剥がれ落ちています。床のフローリングは変色しています。埃っぽくて、カビっぽい。
「グリーミウム。暗いから足元に気を付けなさい」
冷たく生臭い空気の漂う薄暗い廊下を歩きます。いくつかのドアを通り過ぎて、やがて一つのドアの前につきました。そのドアは、切れ味の悪い刃物とか、あるいは爪か何かで、文字が刻まれていました。
『Bridget』
ブリジット、というのは何なのでしょうか?
「入るわよ、ブリジットお姉様」
そう疑問に思う前に、ゼロ様がそのドアを開けました。
すると、奇妙な匂いがしました。あまり良い匂いではありません。臭い。これは何の匂いでしょう……鳥の匂いでしょうか?決して人間の匂いではありません。覗き込もうとしても、ゼロ様がちょうど前にいらっしゃるため中が見えません。
「ブリジットお姉様、私の従者を紹介するわ。オリヴィア、来なさい。……あまり無礼な事はしないでね」
ゼロ様はその部屋に入り、私に部屋の中へ入るよう促します。すると、部屋の中が少し見えました。
床には黒い何かが散らばっています。よく見ると、それは……羽根、のようです。カラスの羽根でしょうか。おびただしい量の羽根が落ちています。ゼロ様の姉妹……ブリジット様の使い魔か、ペットのものでしょうか?
「あら、ご機嫌よう。あたくしはブリジットよ。ローア家の……本当は次女だったんだけど。でも、今はもういなかった事にされているわ。オリヴィア、だったかしら。オリヴィア、こっちに来て。あたくし、目が悪くて……あなたの姿がよく見えないわ」
私は一歩部屋に踏み込み……そして、絶句しました。
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