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ゼロ様は言うと、少し席を外させてもらうわ。と、どこかへ向かってしまわれました。
ねえ、本当にここにいるの?なんだかきな臭いじゃないの。あたし、あなたが傷付くのだけはごめんだから。ミザリーは気丈な口調で、しかし不安そうに私の腕にとまります。
「ミザリーは優しいね。大丈夫だよ、何とかなるさ。ゼロ様……いや、ご主人様も噂のような人物ではないみたいだしね。ローア家の罪というのが何なのかは気になるけど、好都合だ。ロレッタ様からの依頼もこなせる」
そう。あなたがそう言うなら止めないわ。止めても無駄だろうしね。ミザリーは軽く羽を揺り動かしました。
私はふと、ミザリーに少し意地悪をしてみたい気分になりました。理由はありません。強いて言うのなら、それは気まぐれです。
「ミザリー、お前は本当に優しいね。それにとても美しい。私だけの標本にしたいくらいだよ」
あらオリヴィア、それで?あたしはそんなの全部知ってるわ。あたしが優しい事も、美しい事も、それからあなたがあたしの事大好きだって事もね。
「お前が死にそうになったら、死ぬ前に私が標本にしてあげるからね。標本になれずに死んだら、折角美しいのが台無しだよ。私は美しいお前が好きだから」
死ぬなんて縁起悪い。もっと明るい口説き文句はなかったわけ?まあ、あたしもあなたの事嫌いじゃないけど。でもそうね、それも良いわ。あたしの美しさが損なわれるのは嫌だもの。ミザリーはクスクス笑います。私もつられて、少し笑い……。
「蝶を口説くなんてオリヴィアは変わっているのね……」
「うわ、ご主人様?!」
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