15話 ページ16
【夏油side】
暑い日だった。
外では蝉が鳴いていて、それがまた余計に暑苦しく感じさせる。
理子ちゃんが死んだ。
いたいけな少女の命が、奪われた。
猿どもの、せいで。
「夏油、お疲れ」
そんな時に聞こえた、女性の割に低いハスキーボイスに顔を上げる。
そこに立っていたのは、同期の水瀬A。
呪力の総量が少なく、術式は扱えるものの大した威力は出せない。その代わり、私や悟を片腕で持ち上げるほどの怪力を与えられた女だ。
いや、私の中では女という認識よりかゴリラという認識の方が正しいのだが。
まさか声を掛けられるとは思わなくて、その気持ちを素直にいえば「悪かったな私で」という言葉と共に彼女のこめかみがひくついた。
彼女は硝子とよく話すものの、私や悟とは一線を引いているようだった。確かに初対面で雑魚呼ばわりした悟は嫌いだろうが、私は何も言っていないのに不思議で仕方なかった。大方、悟と話しているからそれが印象を悪くしたのだろう。今となっては別にどうでもいいことだ。
辛気臭い顔をしている、と言われてその理由を問われたから、悟の時と同じように返せば、そんな嘘は通用しないと鼻で笑われる。
「私はお前のことなんも知らねぇ。だから偏見なしで話してやるよ」
3年も一緒に過ごしているのに、ましてや4人しか居ない同期のことをなんにも知らないとはどういうことなんだ、と思ったが、彼女の言葉は今の私にとって差し伸べられた1本の糸のようなもので。
急かす様子もなく、ただ私を見つめながら首を傾ける彼女にぽつりと本音を漏らす。
分からなくなったと。
何を守るべきで、何のために命を懸けるのかと。
非術師のためだと思っていた私を、今の私はどう思うのだろう。そんなものは嘘偽りだと、吐いて捨てるのだろうか。
きっとそうだ。私の中で答えはもう、出かかっている。
「この仕事に、価値はあるのか」
猿どもを助けなければいけないこんな仕事に価値なんてない。
少しでもそう思った段階で私の答えは分かりきっていた。
でも、私の言葉を聞いた目の前の同期は苦い顔をして、次の瞬間。
「ふざけんなよ」
その言葉と共に私の頬に全力の平手打ちをかましたのだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
すみません、時間軸が矛盾しまくっていたので修正しました。通知多くてごめんなさい。
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らぅ(プロフ) - 夢主イケメンすぎwww最高ですwww (8月8日 8時) (
レス) @page23 id: f9b0273b6d (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お友達のイラストもよわよわな夏油もつよつよの主人公も大好きでしたありがとうございました (2022年3月8日 3時) (レス) @page24 id: 3c352c4c7a (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 夢主ちゃんすごいかっこよかった！！これは惚れちゃうね！私も惚れました！ありがとうございます！！ (2022年1月17日 3時) (レス) @page22 id: 7f38ffe42c (このIDを非表示/違反報告)
お茶ん(プロフ) - チョット待って夏油サイコーすぎるWWW 五条に絶対普通に告った後のアピール用に金持ちラブ情報与えたのに、告る時点でのATMはもうネタじゃんWWW わらび餅さんサイコーですWWW (2021年8月30日 22時) (レス) id: f8c5dcff4c (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅。(プロフ) - あいりさん» あいりさんありがとうございます〜！夏油が惚れるのもわかる！と思っていただけるようなキャラにしたかったので、好きになってもらえてとっても嬉しいです〜！読んでくださってありがとうございました！ (2021年7月22日 20時) (レス) id: b794bc2212 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅。
| 作成日時：2021年3月6日 17時
