【呪術廻戦】最凶呪術師は最凶ルートを回避したい

35話 ページ37

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星漿体・天内理子護衛任務失敗から1年。
あれ以来、夏油はよく私の部屋を訪ね、共に眠ることも多くなった。



「おはよう、A」


「……おはよう」



夏油は原作ほどではないけれど確実に窶れていっている。色々言葉を掛けたり、こうして共に眠ったり、時にはご飯をご馳走したりしているけれど、改善の見込みはなかった。

そろそろ灰原の等級違い任務が舞い込んでくるはず。
それにプラスして、夏油の考えを後押しするような九十九が高専に戻ってくるのだ。



私がするべきことは2つ。
九十九由基を夏油傑に会わせないこと。
灰原と七海の任務を代行する、もしくは同行すること。


前回のように長期任務が入らないよう、私ものらりくらりと躱してきた。もちろん夜蛾にはブチ切れられたが、「私が行ったら街を呪霊諸共吹っ飛ばすぞ｣と脅しをかけて諦めさせた。私がこんな事を言うのは本当に珍しいため、夜蛾はかなり驚きながらも「…事情があるなら仕方ない」と聞き入れてくれたのが記憶に新しい。




「これから私は任務なんだけど、今夜もいいかな」


「誤解生むような言い方すんなよ」


「同じベッドで寝てるのは事実だろう」


「だぁから言い方！」




私の必死の訂正にも、クスクスと笑うだけで「じゃあ、また今夜」と去っていく夏油は、前と変わらないように見えても心の内は変化している。私はそれを知っている。なのに。



「…何一つ、話してくんねぇんだな」



本人の口からは、何も聞けていない。

五条でさえ救えなかったのだ、夏油傑の溜め込み気質は半端じゃないことはわかってる。
でも、一緒に寝るくらい心を開いてくれてるなら、話してくれたっていいのに。


九十九には、話すのに、どうして。



「……こんなこと考えてる暇はない、か」



今はとにかく、この先に起こる悲劇を止めなければ。

でも、今私の頭の中には1つの可能性が存在している。
もしそれが、正しければ。









私は、誰一人救えないことになる。

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