▽ ページ18
「はい、誕生日プレゼント」
「あ、これって･･･」
「前と同じだけど。ごめん」
それは、最初に貰ったものと同じものだった。
濃紅色の6本の薔薇。
きんときは申し訳なさそうにしているが、Aはそれでも満足だった。
「ううん、凄く嬉しい。これもドライフラワーにしておこうかな」
Aが特に綺麗な一本を選ぼうと薔薇を見比べる。
きんときからのプレゼントというだけで、Aの心は満たされる。
「･･･えっと、黒い薔薇は好き？」
「好きかな。でも本物を見たことはないけど」
「はい、これ」
この日くれたのは黒い薔薇を1本だった。
たった1本だからと言って怒るわけでもない。
寧ろ、Aは初めて見る黒い薔薇に興味津々だった。
それは蕾なので、満開の美しい花を見ることは叶わなかったのだが、蕾には蕾の良さがある。
これでも充分だ。
(これは押し花にでもしよう･･･あ、栞にしても良いかも)
「重そう･･･」
それがAの最初の感想だった。
随分と見当違いなことを言ってしまった、と後になってAは笑いながらそう言う。
何故なら、それを言った後のきんときは苦笑いをしていたからだ。
そこでAはおや、と首を傾げる。
きんときの手には、花束の他に何か小さい箱の様なものが握られていたからだ。
だが、ここでAは何となく気付く。
いや、気付いてしまった、という方が正しいか。
もしかして、この真っ赤な薔薇の花の数は、108本なのでは。
その考えに辿り着いた途端、Aの動きが鈍くなる。
顔も赤くなったことにきんときは気付いたのか、そうではないのか。
そっと花束をAに渡した。
そして、箱をAの方に向けてそっと開ける。
その中には、綺麗に輝く指輪があった。
「っ･･･！」
「･･･A、俺と結婚して欲しい」
Aは花束をぎゅ、と抱き締めて何度も頷く。
108本の薔薇の意味は『結婚して下さい』。
「はい、今日のプレゼント」
「えっ･･･今日も？」
タキシード姿のきんときが渡したのは、ピンク色の薔薇を5本。
この日は結婚式なのだ。
しかしまあ、何と律儀なことか。
Aの着ている純白のドレスと相まって、可愛らしい薔薇はまるで主役のように煌めいていた。
そして本当の主役であるAは大事な宝物を抱えるように、薔薇をそっと抱き締める。
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みらい(プロフ) - どちゃくそ好きなんですけど！！(興奮)knさんの『愛を数えよ』って999本だから「何度生まれ変わってもあなたを愛する」ってことですよね？！？！ やっぱ好み把握されてる？(そんなことはない)(ちなみに数えるとき電卓ミスりまくって心折れそうになった) (2020年12月10日 13時) (
レス) id: 602a53560f (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - ささくれさん» コメントありがとうございます。こちらとしてもこの話を書いていて楽しかったです。リクエストありがとうございました。 (2019年5月12日 8時) (レス) id: 923f72b457 (このIDを非表示/違反報告)
ささくれ(プロフ) - こんばんは、作品読ませていただきました！イメージの通り見事なまでのすれ違いで読んでいてとてもドキドキできました。ありがとうございました(^^) (2019年5月12日 3時) (レス) id: 02491d5f49 (このIDを非表示/違反報告)
わらび餅(プロフ) - 水無月みなとさん» コメントありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです。私も妖怪パロは大好きです。更新はのんびりですが頑張りたいと思います。 (2019年5月5日 18時) (レス) id: 923f72b457 (このIDを非表示/違反報告)
水無月みなと(プロフ) - 初めてまして、コメント失礼します。"鈴の音に誘われて" とても素敵でした!!!個人的に妖怪パロがとても好きなので、こういったお話が見れてとても嬉しく思います。更新頑張ってください。 (2019年5月5日 17時) (レス) id: e8bc1ec57a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わらび餅 | 作成日時：2019年4月29日 15時
