episode２０ ページ38
『でも、俺は九州になんて行きたくない。俺はここにいたい。ここでみんなと一緒に勉強をして、みんなと一緒にいたい。工と、太一と、……賢二郎と。離れたくない。だから俺、一人暮らしをしようって考えたんだ』
川西「一人暮らしをするために、バスケを辞めてアルバイトしようって考えたのか」
『うん、そう。一人暮らしをしたら、工のお父さんとお母さんの負担が減るし…アルバイトをして稼いで、その金で家賃とか生活費を払おうと思ってさ。……ま、上手くいくかは、分かんねぇけど』
アルバイトをした事はないし、一人暮らしもした事が無い俺。
今は想像で語る事しか出来ないけれど、でも、俺はバスケットボールを辞めて、一人暮らしをして、アルバイトをするって決意したんだ。
すごく、悩んだ。
一睡もしないで考えた。
考えながらひとりで泣いた。
本当は嫌だよ。
一人暮らしなんて、嫌だよ。
バスケットボールを辞めてアルバイトをするなんて、嫌だよ。
でも俺には、この方法しか見つからなかった。
『賢二郎……分かってくれた？』
白布「……分かんねぇ…」
『え？』
白布「もっと……もっといい方法があるはずだ。和真が一人暮らしなんてしないで、アルバイトもしないで、今まで通りにバスケができる方法が…っ」
『……考えたけど、見つかんねぇよ』
ふるふると頭を左右に振る俺を、賢二郎は眉を寄せて見つめる。
『もっといい方法があったら……教えて欲しいくらいだ』
あまりにも泣きそうな顔をする賢二郎に、俺は力の無い笑顔を向けた。
『俺は賢二郎と離れたくないから、この手段を選んだ。だから、わかって…賢二郎。俺の気持ち、わかってくれ』
白布「や…やだ」
『お願い、賢二郎』
白布「俺は…っ、俺はバスケしてる和真が…っ」
『うん、ありがと』
カタカタと震える賢二郎の両手を握る。
こんなに手を震わせる程、俺がバスケットボールを辞める事を嫌がってくれるんだ。
本当に、賢二郎は良い奴。
俺が惚れただけの人間だ。
汗ばむ賢二郎の手をぎゅ、と握った俺は、瞼を閉じる。
そのまま体を賢二郎へと倒し、ぽす、と賢二郎の肩に頭を伏せた。
『……賢二郎と離れ離れになるくらいなら、バスケを犠牲にした方がマシだ』
To be continued
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
