episode１９ ページ28
分かっていた。
この家に、俺の居場所はない事を。
────和真を九州に行かせろと言うのか？
俺の父さんは九州出身。
父さんの実家は、九州にある。
俺のじいちゃんとばあちゃんにあたる父さんの両親はまだ生きていて、九州でのんびりと暮らしている。
もしかしたら俺は、父さんの実家に住む羽目になるかも、と予想はしていた。
でも、俺は嫌だった。
宮城県から離れて、九州のばあちゃんとじいちゃんの家に住むなんて。
俺には、考えられない。
九州のばあちゃんとじいちゃんも好きだけど、俺が九州に行ってしまえば、俺と賢二郎は離れ離れになってしまう。
そんなの、絶対に嫌だ。
「和真が高校を卒業するまで、残り一年半か」
「そうね」
「和真には少し我慢してもらわなきゃな」
「…本当は我慢させたくないけどね」
俺はまた、我慢をしなければならないのか。
俺は我慢をして、宮城県を離れて九州に行かなければならないのか。
大好きな賢二郎と別れて、白鳥沢学園を離れて、遠い遠い知らない地に。
────俺、ひとりで。
悔しい。
俺はどこまで我慢すれば良いんだ。
俺はどこまで苦しい思いをしなければならないんだ。
嫌だ、嫌だ。
ここから離れたくない。
宮城県から離れたくない。
九州に行きたくない。
────賢二郎と、離れたくない。
『………嫌だ』
ぼそ、と呟いた俺はぎゅっと両手で握り拳を作り奥歯を噛み締めた────その時。
五色「和真？」
風呂上がりなのか、首にタオルをかけ、ぽたぽたと髪先から雫を垂らす工が俺の隣に立っていた。
名前を呼ばれて顔を上げた俺を見た工は、俺の顔を見ると驚いたように目を見開く。
五色「どうした……なんかあったか、和真」
『……工』
震える声で工を呼べば、工は俺の肩を片手で掴み、もう片方の手で俺の頬を包み込む。
気付かぬうちに目尻に溜まった涙が頬を伝い、頬を包む工の手を濡らした。
五色「和真、なにかつらい事があったんだな」
工は知らない。
工のお父さんとお母さんが、俺を九州に行かせようとしている事を。
五色「話聞く。なにがあった」
真剣な眼差しを向ける工に、俺は何も言えなかった。
→
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星 - 磯野さんの作品好きすぎて何回も何回も読んでます！更新楽しみに待ってます！ (7月3日 20時) (
レス) @page49 id: 9063271731 (このIDを非表示/違反報告)
尚(プロフ) - いつでもいい。待ってます。2人の幸せを繋いでください。 (6月26日 1時) (レス) @page49 id: 271ac13c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - 磯野さんの作品大好きです！！白布くん推しなのでほんと最高です！！更新すごく楽しみですが磯野さんのペースで頑張ってください！ (2022年9月17日 20時) (レス) id: fc31c82ef2 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» こんにちは、彩都様！この度もコメントありがとうございます。いつも読んでくださりまして、とても嬉しいです！これからも宜しくお願い致します！ (2022年8月25日 14時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - 続編，おめでとうございます！！これからの展開がとても気になります！磯野様のペースで更新してください！応援しています！(*´꒳`*) (2022年8月24日 20時) (レス) @page4 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2022年8月24日 20時
