episode2 ページ6
(白布side)
白布「あ、あれ烏野のバスケ部じゃね」
『んー?おー』
目の前には両腕を伸ばしても届かない程の広い海。
和真の自転車の荷台に乗っている時は和真の付けている香水の匂いしかしなかったのに、今では海水の匂いが鼻先を掠める。
砂浜へと続く階段に和真と俺は隣同士に座り、広い海の向こうに沈みかけている太陽を眺めながらソーダ味のアイスにかぶりついた。
波と共に砂浜を楽しそうに走り回っている学生が何人かいて、身に付けているジャージには「烏野」と書いてある。
見た感じバレーボール部では無いし、砂浜に置いてあるスポーツバッグの隣にバスケットボールが転がってある事から、きっとバスケ部員だろう。
和真もバスケ部だから、きっとあの中に知り合いでもいるんじゃないかと教えてあげたのに。
こいつは興味無さげに「んー?おー」としか言わない。
白布「あの中に知り合いいねぇの?」
『賢二郎見て見て!こんなところに昆布!』
白布「ただの海藻だろ。つか俺の話は無視か」
和真は靴を脱いで裸足になり、砂浜の上に投げ捨てられている海藻を器用に足を使って引き寄せた。
「うりゃ!」と言いながら俺にそれを投げ付けてくるもんだから、俺も靴を脱いで裸足になり、和真の足を蹴ってやり返す。
『水族館、楽しかったなぁ賢二郎』
白布「三時間くらいいたな」
『男ふたりが水族館に三時間って笑っちゃうよな』
白布「お前がクラゲコーナーから離れねぇからだろ」
『だってクラゲって賢二郎に似てブブッ!』
白布「それ以上言ったらこのアイスの棒、口ん中にぶっ刺すぞ」
どうやらクラゲと俺の髪型が似てると言いたいのだろう。
絶対言わせねぇ。
和真の言葉を遮るように指で和真の両頬を挟み込めば、痛い痛いと言いながら俺の手を軽く叩いた。
『ご、ごめんてぇ、けんじろぉぉ』
白布「許さねぇ」
『怒ってんの?怖い顔すんなって』
白布「お前が怒らせたんだろ」
眉を寄せながら顔を背ければ、俺と和真の間を埋めるように和真が俺に寄り添った。
『また行こうな、賢二郎』
白布「行かねぇ」
『次は動物園にでも行こっか、来週どう?』
白布「絶対行かねぇ」
『遊園地がいい?』
白布「子どもが行きたがる場所ばっか選ぶな」
目を細め、睨み付けながら和真を見るけれど、和真は俺とは真逆に楽しそうにヘラヘラと笑っている。
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連斗 - 磯野さん!退院おめでとうございます!この作品の投稿!ずっと待ってました!これからも応援させていただきます!無理なく頑張ってください! (2022年10月22日 21時) (レス) id: c0be3ab978 (このIDを非表示/違反報告)
バナナくん(プロフ) - 磯野さんだ〜!!まず退院おめでとうございます!久しぶりに占ツク開いてみたら通知欄に磯野さんの名前があってめっっっっちゃ嬉しかったです!今後も自分のペースで頑張ってください! (2022年9月2日 1時) (レス) @page48 id: 5cd13d94ad (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 彩都さん» 彩都様、ご無沙汰しています!いつもいつも私の作品に目を通して下さりましてありがとうございます!今回はこの時間帯に更新します、とご報告出来ませんがなるだけ毎日更新致しますね。よろしくお願い致します! (2022年8月20日 0時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
彩都(プロフ) - おかえりなさい!退院?おめでとうございます!待ってました!磯野様のペースで更新してください!楽しみにしています! (2022年8月20日 0時) (レス) @page10 id: 11dbb3cd4a (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - ゆぅさん» ゆぅ様、大変長らくお待たせ致しました。随時更新していきますので、よろしくお願い致します! (2022年8月19日 23時) (レス) id: 017e5977a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2022年8月19日 21時