STORY 34 ページ8
(男主side)
7月7日、七夕。
七夕の日には毎年、花火大会が開催される。
俺は毎年、その大きな花火大会には行っていて、去年は中学の時のクラスメイトを集めて行った。
一昨年は部の仲間達と一緒に行った。
毎年必ず行きたくなる程、その花火大会はとても楽しい。
その花火大会を明後日に控えた今日、俺は昼食を食堂で取らず、屋上にやってきた。
今朝、登校途中にコンビニで買ってきたパンと、紙パックに入ったいちご牛乳を床に置く。
胡座をかいて座れば、ポケットからイヤホンを取り出して耳に取り付け、パンが入っている透明な袋を破った。
大きく口を開いてパンにかぶりつき、咀嚼をしながら青い空を見上げる。
透き通るような雲が青空に浮かんでいて、遠くには気持ち良さそうに飛んでいる飛行機も見える。
パンにかぶりつきながら考える事は、明後日の花火大会の事。
俺はまだ、迷っていた。
木兎の元へ行くべきなのか、赤葦の元へ行くべきなのか。
自分の気持ちになかなか答えが出ない。
それと、河野の件。
数日が経た今日も、河野とは一切口をきいていない。
同じクラスなのに、会話はもちろん、目も合わせていない。
三人の事を考えていれば、せっかく食べたパンも、徐々に味がしなくなってくる。
美味しくない。
今頃みんなは食堂で楽しく昼飯を食べているのかな。
どうして俺は、誰もいない屋上で昼飯を食べるハメになっているのだろう。
はあ、と肩を落としながら溜息を吐き出した瞬間、俺の片方のイヤホンが耳から抜かれると同時に、頭上にある男の声が降り注いだ。
「溜息、多すぎ」
咄嗟に顔を上げてみれば、そこには片手にコンビニ袋を持っている────藤田が。
意外な人物の登場に、俺は驚きを隠せないと言わんばかりに目を大きく見開かせた。
藤田は何も言わずに俺の隣に腰を下ろして座ると、コンビニ袋の中から炭酸ジュースが入ったペットボトルを取り出す。
キャップを外すとプシュッと炭酸が抜ける音がした。
炭酸ジュースを飲む藤田の横顔を見つめていれば、藤田は横目で俺を見ながら、「なに」とでも言いたげに目を細めた。
『食堂じゃねえのかよ、昼飯』
「別に。俺がどこで昼飯食ったって俺の勝手だろ」
『なんかお前、前から思ってたんだけど最近、俺のキャラに似てきたよな』
「うっせ!別に真似とか意識とかしてねえし!」
『ふうん』
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀`*)ポッ次回作楽しみ( ´Д`)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/キサキ シュ-トさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/キサキ シュ-ト(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです!どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです!ホントに素敵な作品をありがとうございます!! (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ!、ぁぁぁぁあああ!最高ぉぉおおおお!最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう! (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:磯野 | 作成日時:2018年10月21日 21時