STORY 33 ページ5
「そしたら木兎さん、うん、って言った。河野の知ってる人だよ、って教えてくれた。だから聞いたんだ。誰に片想いしてるんですか？って」
『聞くなよ』
「聞く」
『傷付くって分かってるのになんで聞くんだよ』
「好きだから」
河野の瞳は真剣だった。
「木兎さんの事が好きだから、聞く。それが例え、自分が傷付く事であっても。好きな人の事は何でも知りたい」
素直に、河野がすごいと思った。
俺が木兎に想いを寄せている時、俺は勝手に木兎と赤葦は両想いだと思っていた。
でも、俺は赤葦にも、木兎にも、聞かなかった。
赤葦に、木兎の事が好きなのか？って。
木兎に、赤葦の事が好きなのか？って。
聞かなかった。
それは、自分が傷付くのが怖ったから。
だから、聞けなかった。
そんな俺とは違い、河野は、木兎が自分以外の人に想いを寄せていると分かっても。
自分が傷付くと知っていても。
木兎に「誰に片想いしてるんですか？」と聞いた。
素直に河野はすごいと思う。
それほど、木兎に対する気持ちは本気なんだと思う。
「木兎さん、誰に片想いしてるか、知ってる？」
『知ら…』
「知らない、なんて言わせねえよ蒼井」
河野は凭れかかっていたフェンスから背中を離すと、一歩ずつ俺に歩み寄ってくる。
河野との距離が近付く度に、俺も小さく後退りをした。
「蒼井、告白されたんだろ」
『……それも聞いたのかよ』
「気になるから聞いた。その人に告白はしたんですか？って」
『だからなんでも聞きすぎだっつの』
「そしたら、告白した、って木兎さん言ってた」
『……そうか』
「そうか、じゃねえよ蒼井」
河野の足が俺の目の前でピタリと止まる。
ゴクリ、と唾を飲み込み、自分よりも身長の高い河野を恐る恐る見上げる。
河野の瞳は怒りと悲しみが入り交じっていた。
「……告白されたんだろ、蒼井」
『………されてな…』
「嘘つくなって言ってんだろ！俺はもう知ってんだよ！お前が木兎さんから告白されて、その答えがまだ出てない事くらい！！」
突然、怒鳴り始めた河野。
その声の大きさと肩を震わせる河野を見て、俺は何も言い返す事が出来なかった。
「なんで、…なんで俺に言ってくれなかったんだよ」
『……悪い』
「違う。俺は謝って欲しいんじゃない。どうして、木兎さんから告白をされた事、花火大会に誘われた事を言ってくれなかったんだって聞いてるんだ」
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磯野(プロフ) - yu-kariさん» こんばんは。コメントありがとうございます。次のHQ小説の内容はまだ決まっていませんが、次回も読んでいただけましたら幸いです。よろしくお願いします。 (2018年10月29日 20時) (
レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - 、、、たまらん。(*´∀｀*)ﾎﾟｯ次回作楽しみ( ´Д｀)= (2018年10月29日 13時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
磯野(プロフ) - 輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄさん» おはようございます。コメントありがとうございます。最後まで読んで下さいまして誠にありがとうございます。これからも読者様方々におもしろいと思って頂ける作品を作っていこうと思いますので、よろしくお願いします！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
輝咲囚兎/ｷｻｷ ｼｭ-ﾄ(プロフ) - 最初から最後迄本当に楽しかったです！どちらのルートも応援していたのでとても胸がいっぱいです！ホントに素敵な作品をありがとうございます！！ (2018年10月29日 7時) (レス) id: 437cb76d7d (このIDを非表示/違反報告)
yu-kari - おっ、、、あっ、、、。、、、、、ぁぁぁぁあああ！、ぁぁぁぁあああ！最高ぉぉおおおお！最後まで神作ぅぅぅぅぅぅううう！ (2018年10月28日 2時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：磯野
| 作成日時：2018年10月21日 21時
