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STORY 22 ページ40

走り出した皇輝の背中に叫ぶが、当然彼に俺の声は届かず、俺の目の前に立つ女子生徒が不安そうに眉を下げた。


「違うって、…どういうこと?」

及川「えっ…とぉ…」


早く皇輝を追いかけなければ。
じゃなきゃ、皇輝が誤解したままだ。


及川「ごめん、俺今、ものすごく好きな人がいるんだ。だからさっきの、うん、は間違い。ごめん…!」


彼女の悲しんだ表情を見ないように深々と頭を下げると、彼女の顔を見ずに、走り去った皇輝の背中を追った。

泥混じりな地面を蹴りながら走り、皇輝が帰るであろう道を突き進んでいくと、ポケットに片手を入れてのんびりと歩いている皇輝の後ろ姿を見つける。

「皇輝!!」と、彼の背中に叫ぶが、皇輝は俺の声に気付いていないようで、振り返ろうともしない。

皇輝に駆け寄り、背後から肩を掴んで無理矢理振り返らせると、両耳にイヤホンをして片手に携帯電話を持っている皇輝が、驚いた表情で俺を見上げた。

無理矢理皇輝の片耳からイヤホンを抜くと、「違うから!」と叫ぶ。


「…は?」

及川「俺、あの子と付き合わないから!変な勘違いするな!」

「あ、……そうなんだ?」


きょとん、とした表情で言う皇輝。

走って皇輝を追ってきたため、荒くなった呼吸を整えようと肩を上下に動かしていると、皇輝は小さく笑いながら言った。


「でも悪いな。さっき、邪魔しちまって。あそこ、ゴミ置き場の近くだっただろ。俺今日掃除当番で、ゴミ捨てるの頼まれてさ」

及川「……へえ、」

「でもアイツ、性格良いよ。俺のクラスの女だし。髪の毛も綺麗だしさ。顔はフツーだけどな」

及川「…そうなんだ」


そう言いながら小さく笑う皇輝の次の言葉が、何となく予想できた。

絶対に、次に皇輝は俺に…


「試しに付き合ってみたら?」


ほら、言うと思った。

皇輝の言葉が辛くて、苦しくて、皇輝の肩を掴む手がぷるぷると震える。

.

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磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時

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