STORY 16 ページ15
皇輝の表情が生き生きとしていて、なんだか俺は悔しくて、羨ましくて、無意識のうちに拗ねたように唇を尖らせていた。
「あ、友達?」
「隼人」と呼ばれた男は俺を見上げると、皇輝は「そうそう」と言いながら頷く。
「部のみんなで来たんだよ。みんなって言っても2年だけだけど」
「お前ら北一のチームジャージ、目立ちすぎなんだよ。人数も多いしさあ」
「隼人んところだって黄色と黒のチームジャージだろ?そっちの方が目立つだろー、つか蜂みたいでダセェよお前」
「ダサいってひどくね?お前、口の悪さは変わんねえのな!」
彼は笑いながら皇輝の頬を指で摘んで引っ張り、皇輝は「いてて」と言いながらその手を叩く。
じゃれ合う二人を見て、俺の心はチクチクと痛み、そんな二人を目の前で見ていられなくなった。
及川「…岩ちゃん、行こ」
岩泉「あ?なんで?皇輝がまだ…」
及川「いいから、行こ」
俺は岩ちゃんの腕に自分の腕を絡めると、その場から岩ちゃんを引きずるように歩き始める。
人混みを掻き分けながら俺は足を進めるけれど、行き先なんて決まっていない。
ただ、腹が立つんだ。
俺でさえまだ、皇輝の頬に触れたことも、つねったこともないのに。
りんご飴の屋台の前を通り過ぎるときに、甘い蜜の匂いがしたけれど、俺は見向きもしなかった。
どうせ皇輝は、忘れてるんだ。
俺との約束、忘れてるんだ。
俺の手の上に乗っている残ったたこ焼き達はもう冷めていて、ふっくらとしていたたこ焼き達は萎んでしまっていた。
*
(皇輝side)
小学生のときに一番仲が良かった、心友とも呼べる友人と偶然秋祭りで出会った俺は、中学に入ってからの2年間についてたくさん話をした。
彼の名前は、隼人。
彼はバレー部ではなくバスケ部だけれど、俺とものすごく波長が合うし、なんでも話せて、心の底から楽しんで笑い合える心友。
中学は別々になってしまったけれど、俺と隼人は携帯電話を持っているため、1ヶ月に一度は連絡を取り合っていた。
しかし、まさか秋祭りに隼人が来ているとは思わなく、また、偶然出会ったことにより俺のテンションは上がっていた。
屋台の目の前で、俺たちはいったい何分、話をしていたのだろう。
.
64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
磯野(プロフ) - 令恩さん» おはようございます!コメントありがとうございます。こういうお兄ちゃんだったら良いのになあ、という作者の勝手な想像で作りました笑ありがとうございます!また他の作品もお時間がある時に見て頂けましたら幸いです。 (2018年8月13日 9時) (レス) id: 1f5e84e895 (このIDを非表示/違反報告)
令恩(プロフ) - はぁ…皇輝兄さんイケメン過ぎません?弟想いでちゃんと言う事は言うって素晴らしくないですか?これは及川が惚れるのも分からなくも無いなー (2018年8月13日 4時) (レス) id: 163bbcf1b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:磯野 | 作成日時:2018年4月10日 17時