【ダ／イ／ヤ／の／A】今までもこれからも大嫌い！１ (ページ40)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:56,735 hit

ゴールテープの先２男主side ページ40

沢村の手から師匠ことクリス先輩の手にバトンが渡された。

クリス先輩は風のごとく、静かに走る。

さすがクリス先輩…！！って、感心してる場合じゃなかった。

頼みますよ、クリス先輩…！！と、俺はまた手を合わせて祈り始める。

さっきよりも差が縮まり、未だ順位は三位のままで哲さんにバトンが渡った。

キャプテンも速い。だってキャプテンだし。

バスケ部員を抜かそうと必死に走る哲さんだったが、バスケ部員も毎日走ってるからなぁ…。
そう簡単には抜かせない。

ギリギリ抜かせそうな距離で哲さんから小湊春市にバトンが渡った。

春市もトレードマークのピンク色の髪を泳がせながら走る。

後ろから迫り来る柔道部と比べると、身長差や体格差がヤバイ…。

まるでゴリラ並の柔道部から食われそうな春市。

それでも春市は怯えることなく、バスケ部と並んで次の走者、降谷にバトンを渡した。

途端に女子の悲鳴が響き渡る。
降谷も結構、女子に人気者であった。

走る降谷に手を伸ばして手を振る女子達。

なんだそれ。降谷はアイドルかよ。

内心呆れながらも走る降谷を目で追えば、次は御幸の番だった。

御幸は降谷からバトンを受け取ると、眼鏡が飛びそうな程に全速力で走り出す。

それと共に、降谷の時の声援を上回る程の女子と男子の声援が飛び交う。

『さすが御幸…』

思わず言葉に出てしまっていた。

御幸はバスケ部員を軽々と抜かすと、目の前の陸上部との距離を縮めていく。

これで順位は二位。
俺の順番は、まもなくだった。

御「純さん！」

純「うおっしゃぁぁあああ！！」

御幸から純さんにバトンが渡されると、純さんは雄叫びを上げながら走ってくる。

陸上部との距離の差も、それほど広くはなかった。

純「ゆづる！！！！！！」

純さんから名前を呼ばれると、一気に手に汗が広がる。

ドキドキと胸が忙しく動く。

純「あとは頼むぞゴルァッ！！」

しっかりと俺の手にバトンが渡されれば、俺はもう無我夢中で走り出した。

数メートル先にいる陸上部。
周囲からは俺を応援する声、陸上部を応援する声が聞こえる。

後ろには誰がいる？
今、俺は抜かされそうなのか？

後ろの事が気になり振り返りたい気持ちもあるが、今は前だけを見つめて走り続けた。

距離が長く感じる。
あと何メートルでゴールなんだよ…！！

『はぁ…ッ、は、はぁ…っ、』

やべ、水分取っておけば良かった…。

緊張と焦りで喉が乾く。
酸素が少ない。早く終わりたい。