【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

56話 ページ8

空閑「オサムはチカについててやれ」



三雲「…わかった」



空閑「わるいなチカ、巻き込んで」



雨取「…!」



怯えたような表情をする千佳を見とめ、

遊真は何食わぬ顔をして言う。



A「…遊真。

三輪先輩たちは、手強い」



空閑「みればわかるよ。



おまえは手を出すべきじゃない。

だろ? A」



後ろを振り返る遊真と、

Aの視線が交じり合う。



しばらくの間、二人は見つめ合い＿＿＿＿



A「…トリガー、解除(オフ)」



…先に観念したのは、Aの方だった。

その様子を見て、遊真は一瞬微笑み…



…目の前の二人に、視線を戻した。



米屋「うひょー強そうじゃん!



なあ秀次、

こいつオレに一対一(サシ)でやらせてくれよ!」



三輪「ふざけるな、遊びじゃない」



＿＿＿＿あの目…

人をまっすぐ見つめる、あの目。



…間違いない。

Aは今、あの近界民の心を"見た"。



…A級隊員の強さは

お前もわかっているはずだ、A。



一体、あの近界民の何を見た…?



…先ほどの

遊真とAのやり取りを思い出しながら、

三輪は逡巡する。



彼は、息をついた。



三輪「こいつは、

二人掛かりで確実に始末する」



空閑「『二人掛かり』…?」



彼は嘲笑的に言い放つ。



空閑「おまえ、おもしろいウソつくね」



三輪「…‼」



＿＿＿＿現場から遠く離れたビルの屋上。



そこに、"2人"はいた。



スコープ越しの信じがたい言葉に、

三輪隊狙撃手(スナイパー)、古寺章平は戦慄する。



古寺「勘付かれた…⁉

ウソだ、この距離で…⁉」



『落ち着け、章平』



彼の耳に通信が入る。



「やつは一度もこちらを見ていない。

探知を受けた反応もない」



三輪隊のもう一人の狙撃手、

奈良坂透である。



奈良坂「ハッタリで"かま"をかけてるだけだ」



…そしてその現場では、



米屋「へえー…

やっぱ、ただもんじゃないな」



戦闘が、開始されようとしていた。



米屋「ここはひとつ、

"全員"でじっくりかかるか」



ﾎﾞｯ!!!

…突如として、それは始まる。

米屋は、手に持つその槍を、

首をめがけ突き出す。



空閑「不意打ちがミエミエだよ」



…完全に意表を突いたかのように思えた

その攻撃は、

遊真にはハッキリと見えていた。



その様子に、米屋は意味深く黙り込む。

…やがてその口元が、弧を描く。



米屋「…と、思うじゃん?」

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