【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

55話 ページ7

…しかし、そこで諦めるのが彼女ではない。



A「…遊真を、みんなを

危険に晒すわけにはいかない」



トリガーを握る彼女の目は、

憤怒に揺れている。



A「私は…私の想いを貫き通す‼

トリガー、起動ッ‼」



Aがトリオン体に換装し、

臨戦態勢に入ろうとした…その時。



空閑「おいおい…」



遊真の声が、背後から聞こえる。

その手には、『盾』の文字。



空閑「おれがうっかり一般人だったら

どうする気だ」



三雲「空閑‼」



A「遊真ッ…!」



米屋「うおっマジか。この距離で防いだ!」



ズボンについた埃をはらいながら、

遊真は尋ねる。



空閑「あのさ、

ボーダーに、迅さんっているだろ?



おれのこと訊いてみてくれない?

いちおう知り合いなんだけど」



三雲「そ…そうです!

迅さんに訊いてもらえばわかるはずです。



こいつが、他の近界民とは違うって…」



三輪「……迅、だと…?」



彼は表情を歪める。



三輪「やっぱり一枚噛んでたか…

"裏切り者"の玉狛支部が…」



三雲「『裏切り者』…⁉」



A「ッ…三輪先輩。



近界民を恨む気持ちは、よくわかる。

私も、そうだった」



彼女は、三輪にまっすぐな視線を向ける。



A「…けど、今は違う。



近界民のすべてが悪いわけじゃないことを、

私は知ってる‼」



三輪「…目を覚ませA、

お前は迅にそそのかされているだけだ」



ふと三輪は、その視線を遊真に向ける。



三輪「お前はその近界民を

やけに気にしてるが…



何か特別な思い入れでもあるのか」



ｷｨﾝ＿＿ﾄﾞﾄﾞﾄﾞｯ!!



言い終えた刹那、

Aは、生成したトリオンを

三輪の足元に射出する。



A「…あったら、どうするの」



その言葉に、三輪はわずかに顔をしかめる。



三輪「…退け。A、三雲。



俺たちは、城戸司令の特命で動いている。

これ以上邪魔をするようなら…」



そして彼はしかめた顔を、再度上げる。



三輪「実力で排除するぞ」



ｷｨﾝ...



その言葉に答えるかのように、

Aは手元にトリオンキューブを生成する。



三雲「退きません…ぼくは…」



空閑「さがってろ。A、オサム」



その言葉に、2人は動揺する。



A「…遊真」



空閑「こいつらが用があるのはおれだ。

こいつらとは…」



ｷｨｨｨﾝ...



空閑「おれ一人でやる」



トリガーを起動した遊真の口は、

弧を描いていた。

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