【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

97話 ページ49

扉が勢いよく開く。



木崎「おい雨取…!!」



003号室から出てこない千佳を心配し、

木崎が大声を上げる。



＿＿＿＿しかし、

目の前に広がっている光景に

彼は驚愕することになる。



雨取千佳の周囲には、大量の狙撃手用の的。



否、大量という言葉では

足りないほどのそれが、並んでいたのである。



雨取「あっ…木崎さん」



振り返った彼女は、はっとした。



雨取「もしかして、

もうここ閉める時間ですか?」



…その光景から推察するに、

彼女は、

朝からずっと撃ち続けていたことになる。



＿＿＿＿こいつ…

一体どんなトリオン量してやがるんだ…!?



衝撃を隠せない彼の顔を、

千佳は朝のような、

固い表情で見つめていた。



＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿
＿＿



『門発生、門発生

遠征艇が着艇します。

付近の隊員は注意してください』



鬼怒田「待ちくたびれましたな」



門の向こうから現れたものは、

一見するとトリオン兵と同じ形をした

遠征艇。



『遠征部隊(トップチーム)の帰還です』



周囲には、いわゆる上層部の人間。

その中に、異常(イレギュラー)とも呼べる者がいた。



A「…」



否、彼女は実際には

居て当然の人物なのである。



その所以とも言える"彼"が、

真っ先に降りてきた。



「…お、よおA。

見ないうちに

少し大人になったんじゃねーのか?」



A「普通こんな少しの時間で変わらない。

…お帰り、"お父さん"」



そう、彼女の父、"A季広(すえひろ)"は

ボーダーの人間。



いや、ボーダー"上層部"の人間

と言った方が正しいだろう。



季広「おう、ただいま!

元気にしてたか〜?」



そう言って彼女の頭をくしゃっと撫でる。



当の本人は口にこそ出さないものの。

困ったように笑うその表情が、

父の帰還を嬉しく思う気持ちを示していた。



しばらくして彼女が口を開く。



A「お父さん、お父さんが忙しいのは、

帰ってきてからでしょ」



季広「おーそうだな。



じゃあ俺はそろそろ行く。

おまえはどうする?」



彼は遠征艇の方を見つめる。



季広「久々の面々だろ? "あいつら"」



彼が示す"あいつら"。

つまり、遠征部隊…トップチームである。



A「…この後、用事あるから」



季広「そうか、わかった。

気をつけて帰れよ〜」



背中を向け、ヒラヒラと手を振る。

微かに笑んで、彼女は本部をあとにした。

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