【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

96話 ページ48

＿＿＿＿時計は、午前10時を回っていた。



どさりと長椅子に崩れ落ちる修。

水を飲みながら、それを見下ろす烏丸。



烏丸「三雲おまえ、弱いな。

本当にB級か?」



彼の問いかけに、

息も絶え絶えの修は

虚しくも答えることができない。



宇佐美「おつかれ〜。はい修くん、水分」



三雲「あ…ありがとうございます」



…なんとか彼の息が正常に戻ってきた頃。

002号室の扉が、開いた。



烏丸「小南先輩」



ふらふらと出てくる彼女。

その顔は青ざめている。



小南「ありえない…あたしが…」



烏丸「…?」



その後ろからまた1人…

もとい、遊真が出てくる。



プスプスと音を上げ、ぼさぼさになった髪。



というよりも

爆発に巻き込まれたかのような彼が、

ふと呟いた。



空閑「…勝った」



＿＿＿＿周囲に衝撃が走った。



烏丸「小南先輩、負けたんすか!?」



小南「まっ、負けてないわよ!!」



空閑「10回勝負して

最後に1回勝っただけだよ。トータル9対1」



爆発した髪を元通りに直しつつ、

彼はそう言った。



小南「そうよ、9対1!!

あたしのほうが全然上なんだからね!!」



空閑「今のところはね」



＿＿＿＿空閑が9対1…!?

まだボーダーのトリガーに

慣れてないとはいえ…



先輩はそんなに強いのか…!?



ニコリと笑う彼を見つめつつ、

その実力を散々目にしていた修は、

この事実に焦燥する。



空閑「でも、こなみ"先輩"の戦い方は

つかんできた。

次はたぶんもっと勝てるな」



小南「調子に乗んないでよね"遊真"。

さっきのがあんたの

最初で最後の勝ち星だから!



ほら次行くわよ次!!」



空閑「はいよ」



彼等はまた、同じ部屋に入っていく。



烏丸「おー、やる気満々だな」



その様子を見ていた彼等に、

感嘆とも取れるような静寂が訪れる。



やがて、"師"が口を開いた。



烏丸「おまえはどうする?

まだやれるか?」



三雲「やれます!」



＿＿＿＿空は暗くなり、星が瞬く。

時刻は19時30分を過ぎていた。



木崎「なんだ、まだやってるのか」



宇佐美「レイジさんおつかれさま〜」



木崎「雨取はどこ行った?

もう家に帰ったのか?」



防衛任務から帰還した彼は、

至極当然のように尋ねた＿＿＿＿が。



宇佐美「千佳ちゃんですか?

そういえばまだ出てきてないですけど」



木崎「…!?」



予想だにしなかった彼女の返答に、

木崎は目の色を変える。

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