【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

77話 ページ29

雨取「宇佐美さんも、

"むこう"の世界に行ったことあるんですか？」



宇佐美「うん、あるよ。1回だけだけど」



雨取「じゃあ…

その、"むこう"の世界に行く人間って、

どういうふうに決めてるんですか？」



三雲「…⁉」



宇佐美「それはねー、A級隊員の中から

選抜試験で選ぶんだよね。



大体は部隊単位で選ばれるから、

アタシもくっついて行けたんだけど」



雨取「A級隊員…って、

やっぱりすごいんですよね…」



宇佐美「400人のC級、

100人のB級のさらに上だからね。

そりゃツワモノ揃いだよ」



その間、千佳の表情は真剣そのもので。

それを見た修の中に、ある思考がよぎる。



＿＿＿＿千佳のやつ…

まさか"むこう"の世界に…?



…その時、部屋の入り口が開いた。



宇佐美「あ、Aちゃん!

帰ってきたばっかりなのに

お手伝いさせちゃってごめんね〜」



扉の向こう側にいたのはA。

どうやら、宇佐美が中断していた

荷物運びをしていたようである。



宇佐美の言葉に、彼女は首を横に振った。



A「いつも支部の仕事してもらってる。

非番の日くらいは手伝いさせて」



そう言って、椅子に座った彼女は、

陽太郎を凝視するやいなや大きなため息を吐く。



A「ごめんね千佳。

…陽太郎は食い意地が張りすぎて困る」



雨取「えっ?

あ…どらやきなら大丈夫だよ」



陽太郎「むむ、A。

なぜおれがどらやきを食べたことを

しっている…!」



うーん、と。

少し悩んだ彼女は、へらりと笑った。



A「私のサイドエフェクトがそう言ってる」



「Aちゃん、おれの真似?」



A「…ッ⁉」



不意に肩を抱かれ、

Aの目に焦燥が浮かぶ。



宇佐美「あー。ちょっと迅さん、

Aちゃんとイチャイチャしないでよー」



迅「いやぁ、つい」



Aはというと勿論、

迅へと批判の目を向けていた。



A「…うるさいですよ迅さん。

誤解を招く行動はやめてください」



迅「はは、悪かったって」



悪いと思っているとは

到底感じ得ない笑みをこぼし、



彼は、視線を移した。



迅「よう、3人とも。

親御さんに連絡して、今日は玉狛(ウチ)に泊まってけ」



彼は続ける。



迅「ここなら本部の人たちも追ってこないし、

空き部屋もたくさんある。



宇佐美、面倒見てやって」



宇佐美「了解(ラジャ)」



迅「遊真、メガネくん」



彼の呼びかけに二人は反応する。

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