【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

75話 ページ27

若干塗装が剥げた外壁。

屋上と思しき所では、鳥がその羽を休めている。



迅「さあ着いた、

ここが、我らがボーダー玉狛支部だ」



三雲「川の真ん中に建物が…!」



迅「ここは、

元々は川の何かを調査する施設で、



使わなくなったのを買い取って

基地を建てたらしい。

いいだろ」



そう言った彼は携帯端末を取り出す。



迅「隊員は出払ってるっぽいけど、

何人かは基地にいるかな?」



玉狛支部の隊員。

つまり、迅とAの同僚である。



＿＿＿＿やっぱりみんな腕利きなのか…?



修がそんな思考をしているうちに、

迅がその扉に手をかけていた。



迅「ただいま〜」



ｶﾞﾁｬﾘ



…さて、

その向こう側に待っている者とは＿＿＿＿



＿＿＿＿カピバラと、お子様←



そのまさかの光景に、

当然ながら遊真と修は驚くわけだが…



迅「おっ、陽太郎。

今だれかいる?」



陽太郎と呼ばれたその"お子様"は

ゆっくりと、その口を開いた＿＿＿＿



陽太郎「………しんいりか…」←



迅「『新入りか』じゃなくて」



陽太郎「おぶっ」



迅の容赦ないチョップを食らわされる陽太郎。



陽太郎「うぅ…A、なぐさめろ」



A「…はいはい。

迅さん、やりすぎですよー」



迅「あはは、悪い悪い」



…その時、支部の二階から声が聞こえた。



「あ、迅さん、Aちゃん。

おかえり〜」



宇佐美栞、17歳。

玉狛支部所属のオペレーターである。



宇佐美「あれっ、え? 何?

もしかしてお客さん⁉」



A「栞先輩、この3人は…」



宇佐美「やばい! お菓子ないかも!

待って待って! ちょっと待って!」



そう言ってドタバタし始める彼女。

それを遊真と修は黙って見上げる。



A「迅さん…

栞先輩に連絡入れてなかったな…」



はぁぁ…とため息をつき、彼女は振り返る。



A「手伝ってくるから、ちょっと待ってて」



＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿
＿＿



目の前のテーブルに出されるお菓子と飲み物。

向かい側に、先程の女性が座る。



宇佐美「どらやきしかなかったけど…

でも、このどらやきいいやつだから

食べて食べて。



アタシ、宇佐美 栞。

よろしくね!」



空閑「これはこれは、りっぱなものを…」



三雲「いただきます」



＿＿＿＿和みあふれるその場に、

着実に、魔の手が忍び寄っていた…

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