【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

67話 ページ19

空閑「こっちにだけしゃべらせて

そっちはヒミツかー。



まあいいや、あとでオサムに訊こう」



雨取「ええ⁉

わあ、待って待って!」



ふぃーとため息をつく遊真に、

千佳は慌てて訂正する。



雨取「えっとね…ほんとは、そうなの。

近界民にさらわれたの。



小学校のときなかよくしてくれた友達と、

わたしの…兄さん」



彼女は悲しげな表情だった。



雨取「二人がさらわれたのは

わたしのせいなの。



二人とも、わたしが相談なんかして

巻き込んだから…」



空閑「なるほどね…だから、

もう他の人には頼りたくないって

言ってたわけか。



ボーダーとかにも」



雨取「うん…だって、

迷惑かけるだけだから…」



空閑「まあキモチは

わからんでもないけどなー。

おれも今回オサムとチカを巻き込んだし…」



遊真は背伸びをする。



空閑「おれと一緒にいたせいで、

オサムの出世をふいにしたかもしれん。



だとしたらもうしわけない」



雨取「それは大丈夫だよ。

修くんはたぶん、そんなこと気にしてない」



彼女は目のところで丸を作る。



雨取「『自分の意志でやったことだ。

お前が気にすることじゃない』



……って言うよ、たぶん」



空閑「うーむ、言いそう」



雨取「修くんはさっきも、

自分じゃなくて遊真くんの心配してたよ」



空閑「あいつは他人の心配と

自分の心配のバランスがおかしいからな。



そもそもおれを心配する理由なんかないのに」



雨取「え、でも、ボーダーの人が

遊真くんを狙ってくるんでしょ?」



空閑「ボーダーが何人で来ようと、

本気でやれば、おれとレプリカが

負けるような相手はいないよ。



……いや、そういうわけでもないか」



そう言った彼の顔は、

いつになく引き締まっている。



雨取「Aちゃんと、えっと…

あの、おでこにサングラスの人…?」



空閑「そう。

Aの強さはおれもよく知ってるし…」



遊真は、虚空を見つめる。



空閑「迅さんは、たぶん相当強い。

勝てるかどうかはやってみなきゃわかんないな」



雨取「じゃあ、

あの人たちが追っ手になったら…!」



空閑「…いいや、そうはならないよ」



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城戸「会議は終わりだ、

速やかに任務を遂行しろ」



「それはできません」



二人は微笑を含んだ表情で声を揃える。



鬼怒田「何ィ⁉」



命令を退けながらも堂々としたその姿に、

修も目を見開く。

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