【ワールドトリガー】玉狛支部所属、弓士やってます。 2

64話 ページ16

ﾄﾞﾝｯ!!



空閑「うおっ、飛んだ」



迅「緊急脱出。



ボーダーの正隊員のトリガーは、

トリオン体が破壊されると

自動的に基地に送還されるようになってる」



空閑「負けても逃げられるしくみか。

便利だなー」



その横で、トリオン体の換装を解く米屋。



米屋「あー負けた負けたー!

しかも手加減されてたとか、もー」



彼は大の字に横たわる。



米屋「さあ好きにしろ!

殺そうとしたんだ、

殺されても文句は言えねー」



その姿に、遊真は黙りこくる。



空閑「別にいいよ。

あんたじゃたぶん、おれは殺せないし」



米屋「マジか! それはそれでショック!」



むくりと起き上がった彼は、

何故か笑みを浮かべていた。



米屋「じゃあ今度は

仕事カンケーなしで勝負しようぜ!

一対一(サシ)で!」



空閑「ふむ。

あんたは近界民、嫌いじゃないの?」



米屋「おれは近界民の被害受けてねーもん。

正直、別に恨みとかはないね」



ひょいっと、彼はホームから降りる。



米屋「けど」



彼は、迅やAと話す

奈良坂たちに目を向ける。



米屋「あっちの二人は、

近界民に家壊されてるから

そこそこ恨みはあるだろうし」



彼は続ける。



米屋「今飛んでった秀次なんかは

姉さんを近界民に殺されてるから、



一生近界民をゆるさねーだろーな」



空閑「…なるほどね」



三輪が、

あそこまで恨みがましい言葉を残した理由。



彼にとってそれが、誰にも想像できないほど

壮絶な経験であることがうかがえる。



奈良坂「陽介! ひきあげるぞ!」



米屋「おーう」



やがて、去っていく彼らを見て…



米屋「じゃあな! 次は手加減なしでよろしく!」



…彼は、トリオン体の換装を解いた。



迅「さてと。



三輪隊だけじゃ報告が偏るだろうから、

おれたちも基地に行かなきゃな」



A「修は、来る?

一応、呼び出しはかかると思うけど。



…遊真と千佳が困るかな」



三雲「いや、僕も行く。

空閑と千佳はどこかで待っててくれ」



雨取「うん」



空閑「オーケー」



三雲「千佳。



空閑は、まだ日本のことよく知らないから

面倒見てやってくれ」



雨取「うん、わかった」



三雲「じゃあ二人とも、また後で」



3つの影が動き出す。



…その中の1つが、

深刻な表情を浮かべていた。



＿＿＿＿あのトリガーは、黒トリガー。

なら、その主は…



心苦しく思い、

"彼女"はその思考を停止させたのだった。

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