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しまいこんでた気持ち ページ3

「ある日を境に、Aから笑顔が消えた。

笑ってても、俺にはわかるんだよ。心から笑ってないって。

顔色も悪いし、フラフラしてる。

…何があった?

そう聞いても、大丈夫って笑ってなにも教えてくれない。


…でも、わかったんだよ」



顔をあげたソンウさんの黒い瞳と目が合う。彼はなにかを決意したようだった。




「お前のせいだって。

だって、AがおかしくなってからAの口からお前の名前を一回も聞いてない。

お前がAのバイト先に姿を見せてない」



…なんで、根拠もなく俺を責める?



「答えろよ。

Aに何かしたんだろ?

Aを傷つけるようなことしたんだろ?」


どうして俺を責める?


ソンウさんが寄りかかっていた壁から離れて近づいてくる。俺は一歩ずつ、下がって一定の距離を保つ。



「…なあ。隠し事はやめよう。

教えろ。本当のこと。

俺はAを守りたいんだ」



…なに、偉そうに。

俺らの2年間をなにも知らないくせに。

そんな簡単にAを守りたい、だなんて。



心のなかに嫉妬を中心に、ソンウさんへの黒い気持ちが広がっていく。


答えず黙りこむ俺に、ソンウさんの口調が強くなるのも時間の問題だった。



彼が俺の肩を掴む。



視界が揺れた。



気がついたら、俺は叫んでいた。




「俺の気持ちなんて、なにも知らないくせに!!」



強く、ソンウさんの手を振り払う。



" 俺の気持ちなんて知らないくせに! "


その瞬間、頭をよぎった幼き自分の記憶。


だめだ。


思い出すな。


嫌な記憶がよみがえる。



頭のなかが、ぐちゃぐちゃになる。



" お母さんのせいで、俺がどれだけ苦しんでるか…!"


" お母さんは、いつも自分のことばかり!"


" …ずっと、苦しんでたんだよ…?"



オンマの驚いた顔。

オンマが涙を流す姿。


それが最後の、オンマの姿。




涙が、こぼれる。



膝から崩れ落ちる。




「…おいっ」




ソンウさんの声が遠くに聞こえる。




このまま、幼い記憶に引きずり込まれそうな身体を必死に引き戻すと、ソンウさんが心配げにしゃがみこんだ俺の顔を除きこんでいた。





「あ…。

ごめん、なさい」




急いで立ち上がる。




「…すみません。

今日はもう、帰らせてください」



急いで、その場を逃げるようにあとにした。

崩れ落ちそうな心→←最後のあの言葉



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gumi - 真実さん» そういうことを言って頂けて本当に嬉しいです。最近占ツクには全然来れていなくて、久しぶりにここを見に来たのですが嬉しいコメントが来ていてとても心が暖かくなりました。他のも読んでくださったのですか!?ありがとうございます! (2018年11月11日 21時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - ただただ感動しました。こんなに人を泣かされる作品を作れる方は本当にすごいです。他の作品も少し読ませていただいたのですが、全部良くて、また読み返したいなと思います。 (2018年10月16日 22時) (レス) id: 77640d9d62 (このIDを非表示/違反報告)
gumi - パジさん» 返信遅くなって申し訳ありません!わー!ありがとうございます!文を書くのは好きなのですが得意な訳では無いので、伝えたいことがきちんと伝わるか心配だったのですが…(><) そんなにたくさんのことを感じていただけたなんて私は幸せものです!ありがとうございます^^ (2018年7月2日 3時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)
パジ - はじめまして!全部読みました!結構速い段階から泣きっぱなしでした…なのに読み終わった後は何だか笑顔になれて、私もいつか素敵な人に合えるのかなとか、もっと家族や友達を大切にしようと思えるような、素敵なお話だと思いました。 (2018年6月26日 23時) (レス) id: 85af0eaaac (このIDを非表示/違反報告)
gumi - KooKさん» わー!すごい嬉しいです!!全部読んでくださったのですか!?ありがとうございます!! (2018年4月28日 23時) (レス) id: 574c7b7109 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:gumi | 作成日時:2018年2月9日 16時

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