愛をこめて。２

未練だらけの全てを ページ19

昨日は本当に、ビョルに会えて君は嬉しそうだったなあ、また会わせてあげたいな、と考えながら君のいる病室へと足を進める。


｢じゃあね、ソンウ｣


｢おう。無理するなよ？｣


そんな話し声が部屋の中から聞こえる。

すぐにドアが開いて、部屋の中にいた一人の人物が出てきた。目が合う。


｢…こんにちは｣


｢こんにちは｣


そう素っ気なく返してきたソンウさん。やっぱり俺のこと嫌いなんだろうな。

前のこともあったし。


空気がすごく重くなって、気まずくなっているのがわかった。その場で佇んでいると、ソンウさんは俺の方に目を向けずに無言で去っていった。


その後ろ姿を見送ってから部屋に入る。君は笑顔で迎えてくれた。


｢体調どう？

ソンウさんが来てたみたいだね。会ったよ｣


｢全然元気。

会ったの？そう、久しぶりにお見舞いに来てくれたんだ｣


君にコンビニで買ってきたホットミルクティーを渡す。近くにあった椅子に座ると、ほんのり体温が残っていて、そこにソンウさんが座っていたことを連想させた。


そのまましばらく、君といつもの何気ない会話をしていると、ふと視線を向けた先にあった小さなものが目に入る。

立ち上がって、窓際に置いてある３センチほどの白い三角形の小さなプラスチック製のものを手に取る。それを君に問うように見せると、ああ、と呟いた。



｢それ、この前お見舞いに来てくれた人が忘れていったの。

今度また来てくれた時に渡すから、置いといて？｣


さっきあったところに戻し、再び椅子に座る。


｢あのね俺の友達の友達が結婚式を挙げるらしいんだ。

それが、来年の４月らしいんだ。

Aも、一緒に行こうよ｣


君は嬉しそうに微笑んだ。いいね、と言って。


そして小さく呟く。｢4月か…｣


｢うん。４月｣


｢ギリギリ、だね｣


｢大丈夫だよ。

倍以上、生きるんでしょう？｣


｢うん。もちろん。

私のこと、なめないでね？｣


ニヤリと先ほどとは違う笑みを浮かべる君。

ソンウンさんが教えてくれたあの数字が何度も頭をよぎった。

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