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「A」
男性にしては小さな身長。不健康に痩せた身体。切り揃えられた白髪に真っ白い肌。黒瞳の瞳には光がなく、目元には濃い隈が染み付いている。
彼が梵天の首領である佐野万次郎だ。
真っ直ぐにこちらを見据え、手を組みながら自室のベッドに腰かけている。
「三途から聞いた。何で?」
『何で、とは』
「オレ以外の男と関わるなって言ったよな。なのに何でお前は元彼を連れてきたのか聞いてんだよ」
『……私に必要だったから』
「あ"?」
『私には若狭くんが必要だから』
「オレ以外の男の名前呼ぶんじゃねえよ」
万次郎くんは鋭い視線はそのままに、こちらへ歩み寄ると私の腕を掴んでベッドに放り投げた。
いくらマットレスが柔らかいといえど、衝撃はそれなりにある。
受け身を取らないまま投げ出された身体は簡単に立て直せるはずもなく、気付けばベッドが軋み、彼に覆い被さられていた。
吸い込まれそうな瞳が私を見下ろしている。
「A、ソイツ殺せ」
『嫌』
「首領命令だ」
『嫌。私は殺さない。もし他の人間に彼を殺すように命令したら、私は死ぬから』
「……なんでアイツに執着する?」
『そっくりそのまま質問で返すよ。どうして万次郎くんは私に執着するの』
「お前のことを愛してるから。Aがいなきゃオレ生きていけない」
『そういうことよ』
その言葉を聞いた途端、万次郎くんの顔は痛々しく歪み、私の腕を握る手に力が籠る。
「A、」
耳元で囁くように名前を呼ばれる。
するり、と服の中に右手が入ってきた。
あぁ、今日もきっと彼に抱かれるのだ。
一方的な愛を刻まれて、逃げることも許されずに見えない鎖で繋がれたまま。
抵抗する気はない。
ただあるのは虚しさだけだ。
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セニオリス - きなこだいふくさん» 頑張ります!!ハッピーエンドにはならないと思いますが、最後までお付き合いしていただけると嬉しいです。 (2021年11月20日 15時) (
レス) id: cd823a214f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく - ヤバい、めっちゃ好きなタイプの作品だ......てっきりワカがヤンデレなんか？って思ってたけど夢主だった。重い純愛（？）大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2021年11月20日 11時) (レス) @page9 id: df29fd2470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年11月15日 22時
