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二十九行目 ページ29

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こーんなに怖い顔をした二人を前にしていても、いつも通り長い足で、そばまで来てくれる。
「ごめんな?今日あたしAに愛してるって言ってもらったばっかなんだわ。ごめんな?平伏して?みんな」
「大葉、これはだれか一番を選ばないと決着がつかないんだよ」
「なんてことなの…」
「ウッッッゼエ〜〜」
悟りを開いた大平くんの仏のような顔を見る。戦いが戦いを呼び、煽りが火花を散らさせた。さとりちゃんの釣り上がった目尻と眉は、一心にみゆきちゃんを見据えていた。一体何故…?なんで…??どうしてこんなふうになるの…ここでは何が最善なの…?この三竦みを見てあーだとかうーだとかためらいの言葉ばかり出て、にっちもさっちも行かなくて、言葉に詰まる。
けれど、言わなくてはいけない言葉を思い出して、ハッとしてさとりちゃんの方を向いた。

「まって!さとりちゃんのことだってあいしてる!あいしてるからそんな顔しないで!」
「え!?!!」
「さとりちゃんの友達になれてよかった!!」
「ホント!?!何!?今俺に死ねって言ってるの!?!?どういうサービスなの!?!」
「いつもありがとう!」
「よかったなあ」
「天童……」
「俺のせいじゃない俺のせいじゃないよ若利君俺を見て俺らマブでしょ」
「俺たちは…まぶだちだ」
若利くんの絞り出すような声が聞こえた後、私も声を振り絞った。そうだ、今日伝えなくてはいけない。やけに不満げなみゆきちゃんを自分から剥がして、大きく息を吸った。
大事なことだったから。

「私!さとりちゃんのことすごく大切に思ってるの!」
そうだよ!ほんとうにすごく大切に思ってるんだよ!
「何俺…今日死ぬの…?……信じていいの?」
「嘘じゃないよ!私を信じて!」


信じて!なんて昔は簡単に言えなかった。
誰かに期待するのも期待されるのもそこそこ怖い。裏切られたと思うのも、思われるのも辛いししんどいし、考えたら目眩がする。約束できる確定した未来なんてないし、私が与えられるものは数限りない。この世には私の恐ることが、まだまだいっぱいだ。
でも、どうだろう。

「てかAちゃん男に軽々しくあいしてるとか言っちゃダメだよ本当に。だめだよ?」
珍しく慌てているなと思ったら、今度は急に声音に真剣を混ぜてくる。私も負けてられないので、ちょっと張り切って声を出した。
「わかってるよ!」
ね、あのねさとりちゃん。これはね、突発的なものじゃないんだよ。ちゃんとね、言わなきゃ言わなきゃって、ずっと思ってたの。
「それな?Aこれからあたし以外に言わなくていいよ」
「厄介な彼女かよ」

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あゆむ(プロフ) - 僕達はエンジェルさん» はじめましてー!小学生の頃から!?!すごい…拝啓シリーズも歴史ある作品になってきた気がしました、、笑この作品で若利を知っていただけて更に最推しだなんて嬉しいです!作者冥利に尽きます;;ありがとうございます!おかげさまで更新頑張れます! (2020年9月16日 20時) (レス) id: 67cd23fa6a (このIDを非表示/違反報告)
僕達はエンジェル(プロフ) - あゆむさん、はじめまして。小学生の頃から此方の作品を読ませていただいています。此方の作品こそ、私が若利くんを知ったきっかけなんです。今では推し。ハイキューの中では最推しとなってます。このシリーズ、大好きです。愛してます。応援してます!! (2020年9月12日 23時) (レス) id: d588c749f9 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 白猫さん» はじめまして!!読んでくださってありがとうございます;;めちゃくちゃこだわって書いてきたのでそう言っていただけてほんとうに嬉しいです…;///;これからも更新頑張れます!ありがとうございます! (2020年8月21日 23時) (レス) id: 67cd23fa6a (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - はじめまして。先日この小説に出会うことができ、ゆっくり噛みしめながら読ませて頂きました。書き方や表現の仕方が私の好みドストライクで本当に大好きな作品に出会えて嬉しいです(o^^o)これからも、あゆむさんの描く若利くん拝ませてください! (2020年8月13日 7時) (レス) id: 82d1d6768d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あゆむ | 作成日時:2020年7月31日 18時

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