三十八行目 ページ38
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「何をジロジロと見てるんだ」
「ヒョッえっと！！！牛島くん！」
馬鹿正直に答えてどうするんだ、と内心頭を抱えたが、相手は生来のど天然。「俺がどうかしたか？」と淡々と返してきた。
今更誤魔化しようもなく、「そういう格好初めてみたから」と口にすると、彼はこれまた淡々と「ああ、そうだったな」言葉を返した。
「だったら俺もお前の私服を見るのは初めてになる」
「た、確かに」
私の私服なんて見てもどうにもならないが、彼も私と同じように思ってくれてたのだとしたら嬉しい。通りに出ると雪かきされているおかげで歩きやすく、それまで転ばぬようにと、手を引っ張って支えてくれた彼の手は解けた。名残惜しかったが、彼は隣を歩いてくれるから、イーブンってとこだろう。
歩道の脇に積み上げられた量の雪を見て、「雪だるま白虎は作れそうだね」と話しかけて見る。実際、道端で申し訳なさげに雪だるまが控えている。雪だるまを作って、雪合戦でもしたら楽しそうだなあ、と思っての発言だったのだが、「？…雪だるまか？」という彼の言葉に、サッと血の気が引いたようなそんな思いをする。
「ま、まさか雪だるま知らない！？」
「知らないわけないだろう。俺を馬鹿にしてるのか」
「すこし」
「大葉め」
ムッとした彼の表情がとびきり可愛らしく、天が私に授けた今年最初の福だ…とかなんとか思っていると、「両親と作ったことがある」と、彼がさらに口を開いたのだ。
「あ、そういえば牛島くんのご両親ってどんな人？」
「これと言って何か話はない。白鳥沢の中等部に来た時から寮だったからな」
「あ、確かにそうだね。あ、じゃあその前の話！」
図々しいだろうか、でも牛島くんの話を聞きたいから、訊いてしまうなあ。彼の声を聴きたいし、そうやって話をする彼の横顔を見ていたいのだ。
「両親はだいぶ前に離婚している」
「うそ…ごめんね、話題変えよっか」
「いや、別に構わないが。雪だるまを作るのは、それなりに楽しかった覚えがある」
「ほんと？よかったね、私も春人と前作ったよ。一緒に作ってくれる人がいると楽しいよね」
「ああ、そうだな」
「時間があったらみんなと作れたらいいね」
「黒川や天童が言い出しそうだ」
「私もそう思ってた…けど天童くんもいるの？」
「ああ。大平や山形、瀬見もいる」
「勢揃いじゃん…」
笑うとどんな脳内物質が出るんだろう。及川くんて知ってたりしないかな。今確かに幸せだから、ふと名前が知りたくなった。
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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (
レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん！！私の世界観…！すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね！彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります！ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます！何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…！私も書いているとどんどん若利のことが好きになります！私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…！；；更新頑張ります！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ！濁しまくりです！悶々としながら作品を読んでください！笑 ありがとうございます！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2016年11月6日 18時
