二十二行目 ページ22
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「正直言ってレベル五のうちのレベル六」
「お前の日本語は理解できないがとりあえず大葉を外へ出せ。口をゆすがせろ、そしたら俺が連れて行く。これがマスクだ」
「あたしに命令すんなバカ島…ちっ了解、A!あけてー!」
「もうやだ…どうして牛島くんいるの…やだ…」
みっともないし、髪はボサボサだし、頭の思考が上手い具合に働かなくてへとへとだ。吐くのが本当に嫌だ、嫌いだ。
「安心しなよほら立って」
「ゔ」
「えっなんで泣きそうになってるの?だめだめ泣かないのはいよしよし」
「ゔん」
脇を支えられてふらふらと立ち上がり、水道で口をゆすぐ。とにかく気持ち悪かった。
「吐いてすっきりしたでしょ、もう大丈夫だよ、保健室いこ」
お手洗いを出ると完全防備の牛島くんが仁王立ちしていた。
「大葉、歩けるか?」
「…ぐわんぐわんする」
「牛島お姫様抱っこしてやんなよロマンだから」
「そういう冗談はさておき…」
「俺は良いが、大葉は?」
「…だいじょぶ」
「頑張れるのか?」
「…うん…頑張れる」
「…ハァ」
「見栄を張るな」
それはもう天変地異が起きたかのように、状況も何も理解できずに気づけばそれは完了しているようなものだった。
「こっちの方が早い。保健室に着くまでがな、別に減るものじゃないんだ、いちいち考えすぎるな」
「じゃああたしAのバッグ整理してくるから。牛島よろしくね」
「ああ」
身体が宙に浮いている。約百八十センチの視界。壮観だなあ。こういうのはもっと、ちゃんとした時にやってもらいたかった。といってもまあ、どうせのことながら、そのちゃんとした時なんて私に一生訪れることはない。
「どうしてこうなるまで放っておいたんだ」
「お前はいつも根を詰めすぎなんだと思うんだが」
「普段は頭が良いくせして、こういうところは馬鹿なのか」
「いくら勉強しようと、テストが受けられなかったら意味がないんだぞ」
そうだよ、あなたの前じゃいつだって大馬鹿で、あなたの前で何を言えば正解なのか、自分の発言に自信が持てないし、理想の自分には絶対に追いつけそうにない。あなたと対等でありたい。そばにいたい。常に、何か、あなたに注目されるような、周りに掻き消されるようなことがないように。
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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん!!私の世界観…!すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね!彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます!何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…!私も書いているとどんどん若利のことが好きになります!私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…!;;更新頑張ります! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ!濁しまくりです!悶々としながら作品を読んでください!笑 ありがとうございます! (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あゆむ | 作成日時:2016年11月6日 18時