第二十五話 沖田side ページ27
沖田side
あれから数日
彼奴はそれきり行方不明だ
[そこから先は言わせないよ、絶対に]
あの日、真っ赤な夕焼けの下
彼奴はそう言って俺に“先”を言わせなかった
[後戻りができなくなるから]
今なら、その意味が分かる
・
つい先ほど、屯所の廊下で土方に会った
奴は、
土「彼奴は【宿木】の鼠だったんだろうな。だから………」
沖「………だから、屯所が一番手薄なときに奴等は襲撃してきた。彼奴が情報を流して」
土「…総悟、「彼奴が」
沖「Aが言ってたんでさァ
“私達は出会うべきじゃなかった”って
彼奴はきっとこうなることがわかってた
………どうやら芋侍は女にゃ縁が無ェみてェでさァ
じゃ、俺ァ見廻り行ってくるんで土方さんは始末書でも書いといてくだせェ」
土「……総悟、お前はそれでいいのか?」
沖「………」
土方の質問には答えず、足早にその場を去った
・
いい訳ねーだろィ
屯所に戻り、同じ廊下を歩きながら心の中だけで奴に答える
『ちょっと、土方さんに怒られるの誰だと思ってるの?』
少し怒った顔も
『美味しい〜』
幸せそうに団子を頬張る顔も
『…綺麗……』
灯りに照らされて輝く顔も
『総悟、見て!!』
ガキみてェにはしゃぐ顔も
数日前なら当たり前だったものが、今はない
その事実が俺の心を締め付ける
・
夜、どうにも寝付けず縁側に座って空を見上げる
今日は曇って星は見えず、代わりに月だけがぽっかりと浮かんでいる
夜というのは、こんなにも寂しいものだっただろうか
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーこ - 更新ファイトです! (2019年4月28日 23時) (レス) id: 96eb7dd446 (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - ありがとうございます。 更新頑張ります。 (2019年3月25日 18時) (レス) id: d8d2330064 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - めっちゃ面白いです!! 更新楽しみにしてます。 (2019年3月25日 16時) (レス) id: 96eb7dd446 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:勿忘草 | 作成日時:2019年3月23日 17時