【ONE PIECE】殺人狼さんは問題児[part2] (ページ4)

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「…とってもいい人で、真面目で、カッコ良くて…私の憧れだった。」

Aは何か、見えないものを見るように、そう言った。

「私はシュンといて、何より楽しかったし、一緒にいたいと思ったし、ドキドキしたし、…シュンといた時間は特別に感じた。」

Aは海の方向へ向き、船端へもたれかかった。

風が二人の顔をなでた。

「特定の人だけに示される特別な感情。それが恋なんじゃないかなって私は思うよ。」

Aは空を見上げた。

恋について語ったというのに、表情はどこか寂しそうだ。

「まあ、なんとなく船長には語ってもいい気がしたんだよね。」

Aはルフィの顔をみて言った。
ルフィは何ともいえない表情をしていた。

「元気にしてるかなぁ…シュン…。」

そう、Aがつぶやいた一言は、この広い海に、響き渡った。

静寂が訪れる。

波の音が鮮明に耳に入る。

少し間をあけて、Aはもたれかかっていた体を起こし、ルフィの方へ向いた。

「…恋ってのはこんな感じ。わかった？」

Aはフッと笑いながら言った。
だが、ルフィは黙ったままだ。

心配になって、Aはルフィの顔を覗き込んだ。

その時だった。

「ｯ!?船長!?」

ルフィはAに抱きついた。

だが、いつもの遊びの勢いで抱きつくものとは違うものだった。

「だ…大丈夫？どこか痛いの？」

Aがそう心配すると、ルフィはボソッとつぶやくように言った。

「…痛いとこはねぇっ…!!だけど…もうちょっとこのままで…。」

抱きつかれているため、Aの目線から、ルフィは見えないが、それでも、声色や雰囲気から、いつものルフィとは違うことがわかった。

Aはルフィの背中に手を回し、応じた。

＿＿

数分経っただろうか。
あの抱き合った状態から解放されたA。

「落ち着いた？」

そうAが聞くと、ルフィは「おうっ！」と元気よく答えた。

「…一時はどうなるかって思ったけどね。まさか、船長が落ち込むとは思わなくって…。」

Aがそういうと、ルフィは麦わら帽子を深くかぶって言った。

「急になんか苦しくなったんだよな…。」

その言葉に驚くA。

「船長も青春してるのね。今の話を聞いて、船長は誰かに失恋したかな？」

Aがそう言った。
ルフィはこう答えた。

「ああ。シツレンしたかもしんねぇ…」

そう言って落ち込んだルフィをまた慰めるA。
ダイニングの扉を開けると、ルフィは

「シツレンしたぁーっ！」

と叫んだ。