お隣さんは、危険人物です。5th【国見英】

危険人物。140 ページ22

「………ありがと」



徹を見送るとともに、そっとお礼を言った。



及川「………お礼言いたいのは俺の方」



「え？」



徹、が………？




及川「……国見ちゃんと仲直り、ちゃんとするんだよ？」



「…うん」



及川「……Aちゃん、」



徹の視線が、突き刺さる。




及川「……またみんなで、飲み会でもしよっか」



「……楽しみにしてる」



じゃあね、と言って徹が家から出ていって。



…………結局あの時、徹は何を言おうとしていたんだろう………。



うまくはぐらかされたような気がするのはきっと、気のせいではないだろう。



だけど……その嘘の言葉で、慰められちゃったな。



　


"Aちゃんには、笑顔が似合うなぁ"



キザなんだよ、バーカ。




「………」


国見くんにもちゃんと向き合えってことでしょ？


そしたら笑えるから。なんてメッセージが込められていた、なんてのは考えすぎ？



　


「……ふふっ」



ちゃんと、向き合わなきゃ。



謝らなくちゃ。





ぐっと握りしめた拳は、もう痛くなんかない。




＿＿＿大丈夫。




この言葉はさ、あの時………国見くんがかけてくれた言葉なんだよ？



覚えてるかな、国見くんは。



いつしか、胸の痛みは消えていた。

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